おきらくごくらく。

山と自然と不思議。日常のあれこれの雑記ブログ。

ARAKURAYAMA 新倉山。 五重塔と富士山とアヤメ。 低い山での危険例

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近年外国の方から

五重塔と桜と富士山がスゴイ!!!

と評判の新倉山に下見に行ってきました〜〜!


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いやほんと絶景。


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三つ峠も絶景ですが、

五重塔と桜をあわせて見られる、

そしてこの絶景が見られる場所まで

時間もかからずに行けるという点では、

この山が観光客に人気になるのもうなずけますね。

あまり知られてない場所なのに

よく見つけたなあ・・・と感心します。

 

富士急行線 下吉田の駅からすぐ近く(10分)で、

しかも(398段の階段を)しばらく登るだけ(25分)で、

この風景を堪能できるとあれば、

ちょっと行ってみたくなりますよね。

 

実際会った人の9割が外国人でした。

スゴイ・・・

 

 

名称は、新倉山(あらくらやま)浅間公園

入り口に鎮座するのは新倉山浅間神社

富士山の神さま、美しいコノハナサクヤヒメの神社ですね。

さてあの五重塔は実は戦没者忠霊塔です。

この塔と650本のソメイヨシノという京都を思わせる風景に、

富士山の秀麗な全景が同時に見られるということで、

外国で大評判になったようです。

私も最近まで知りませんでした。笑

 

やはり桜の時期がすごく綺麗そうで、

今は塔から少し登るとアヤメが咲いています。

 

 

だいたい皆さんこの五重塔で

写真を撮って帰られるみたいですが、

ここから35~40分ぐらいで山頂まで行けます。

五重塔から先は

完全山道になりますので、気をつけて下さい。

 

途中にはアヤメの群生地や展望台があり、

展望台には東屋とテーブルベンチがあります。

 

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東屋からの眺め。

 

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頭をこの穴に入れると、ゴンゴンと音がする

ゴンゴン石。

 

あれ?というような山頂を過ぎると、

御殿と呼ばれる展望地があります。

 

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さて私の下見は逆ルートで、

山神社から入って新倉山頂上、

そして新倉山浅間公園に降りてきたのですが、

こちらの西側の山神社ルートに下山するのは

かなり危ないので止めた方がよいかと思われます。

地図には一般ルートとして記載されており、

距離も非常に短く感じるので気軽に行けそうな感じなのですが・・・

(自分もそう思ってました・・・)

 

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私だったら登りでも雨が降ったり、

底の磨り減った登山靴の方がいたら

たぶん止めにします。

そのレベルのルートです。

とにかく悪い。

 

入り口がわかりづらいのもありますが、

道がひどく幅もなくザレた急斜面で、

スタート直後、沢を渡った先にあるのがこれ

 

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いきなりステンレスのハシゴが・・・。


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これ道なんですけど、分かりますかね?

幅がぜんぜん無くて、片側がすごく急に切れ落ちています。


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ここはまだいい方。



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これも道がある方。

左側数十メートル落ちています。

右の斜面には、トラロープが何本も張られていて、

掴まないと登れないような急斜面が続きます。


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この道標の先の大棚ノ滝までは

立ち入りご遠慮になっていて、

一応確認してきましたが、

やはりトラロープベタ張りの急斜面で、

かなり足場は危ないです。

 

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分かりづらいですが、

この切り立った道幅40cmぐらいの薄い岩壁が

「大棚ノ滝展望台」です。

両側切れてます。

 

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これが『大棚の滝』ですね。

 

 

先ほどの道標まで来る前も後も、

滝に下るのと同じくらい危ないレベル。(笑)

地図で見た時は、下見要らないくらいかなぁと

思っていたので  ( ゚д゚)  てなりました。

 

いやマジ靴底しっかりした登山靴

履いてきてよかった・・・。

これだから、山は侮れない。

 

地図では一般登山道表記になっていますが、

これ完全に破線ルートですごちそうさまでした・・・

 

かなり急斜面の上、

切れ落ちてる場所がずっと続き、

足場も崩れて脚の置き場が

まったく無い所も多いので、

一般登山者にはまったくオススメ出来ません

特に御殿から下山に使うのは、

本当に止めた方がよいと思います。

 

 

最近も東北で典型的な親子の遭難事故があり、

非常に胸が痛みます。

 

山の危険は高さとかは全く関係なく、

特に日本の場合は

急峻な崖から滝につながる地形のため、

迷って下るのは死に直結します

上にも下にも行けなくなって、

どうにもならない状態に簡単に陥ってしまいます。

万が一の場合は絶対に稜線に向かって登ること

パニックになったり、焦らないこと、

迷った場所まで戻れない場合は

動き回らないこと。

民家の明かりが近くに見えても、

暗くなったら絶対に動いてはいけません。

 

やってみたら分かりますが、

特に良く知っているつもりの場所でも、

暗くなったり、残雪や落ち葉で道が完全に見えなくなって迷うなんてことは非常によく起こります。

 

もし迷ったら安全な場所で110番通報をし、

絶対に動かないのがセオリーです。

 

1人で山中を歩くのとそうで無いのでは、

山で何が危険なのかの認識と緊張感が違います。

迷った経験や、危なかった・・・!

と思う体験をして、初めて身につくものだからです。

 

なので本当は危ない思いをして何とか戻ったから、

何が危険か分かるようになる、

という性質のものなのですが、

どこでどういうことに危険があるのか、

体験した人によってレベルが違ってくるのも事実です。

 

私個人は、海外でのトレッキングより、

日本の低山と呼ばれる山の方がよほど難しい

と思っています。

ザレ場、ガレ場、鎖場、粘土質の滑りやすい土や、木の根、

これまた濡れたら氷のように滑る蛇紋岩が点在し、

急峻な崖に囲まれた沢筋が無数に入り組んだ難しい地形。

派生の林業用ルートやけもの道などの細かい分岐。

 

まさにこれが、

「山の危険は高いか低いかに関係ない。」

ことの理由です。

 

日本アルプスなどの登山者が大量に入山し、

営業小屋があり、

登山道が整備されている山よりも、

簡単にアプローチできる近場の山が、

実は大きな危険をはらんでいます。

 

奥多摩で毎年起こる遭難の多くが

地図もコンパスもヘッドランプも持っていません。

山岳警備隊に連絡して来ても、

自分がどこにいるか分からない。

ヘッドランプさえあれば下山できる場所でも、

「暗くなる前に下山できると思った。」

一番多いのはこれです、これ。

 

山慣れた警備隊でも、

まったく居場所がわからなければ、

広大な山の中で、一粒のゴマを探すようなもの。

膨大な労力です。

 

今回の親子の遭難では、

ビバークの連絡が出来たのに、

翌日に動いてしまって沢に滑落したものと思われます。

 

110番通報ができる場所でしたら、

携帯の場合はそこから警察が、

GPS情報を正確につかむための指示をしてくれます。

動いてはいけません。

 

あるいは

地図とコンパスを持っていることが大前提ですが、

山稜には登山道が通っていることが多く、

見通しも効きますので、上に向かって登り返します

ほとんどの人がコレが出来ずに

焦って下ってしまい、

探すのが大変な場所に遭難してしまうのです。

 

事故は本当に一瞬で起きてしまい、

後からああすれば、こうすれば良かった、

と思うものですが

遭難や事故に至るまでには、

いくつかの選んでしまった分岐点があり、

 

  • 道が悪くなって不安になったけど、引き返さずに進んでしまった。
  • おかしいな?と思ったけど、他の人が大丈夫と言ったので行ってしまった。
  • 天気が荒れそうだったけど、どうしても登頂したくて突っ込んでしまった。
  • 体調に自信がないけどついていった。
  • 登山靴とか雨具とかライトとか、そんなものなくてもいいだろうと思った。
  • 自分の体力を昔のままだと思い、見誤った。
  • 何も食べ物も飲み物もないまま、登山道に踏みこんでしまった。
  • 道は誰かがわかるだろうと思って、地図もコンパスも持たなかった。

 

これらのいくつかが重なっていくと、

一つの結果に辿りつく可能性が、非常に高くなります。

 

私たちは逆に考えて、

この山域のこのルートでは、

これが必要になるだろうと

お客さんの年齢や歩きも想定して、

装備を用意するのですが、、、、、

 

今回はまさしく久しぶりの行ってびっくりルートでした。

 

 

今はスマホにGPSのアプリも入れられるので、

山に行く方はぜひ活用されると良いと思います。

スマホを機内モードで節電しても、

電波の届かないオフラインでも

GPSは動いてくれるので、

濃霧や日没でルートが分からなくなった時にも、

非常に役に立ちます。

 

(ただ地球の磁気に乱れが無く、

 このまま安定していることが大前提ですが。)

 

私個人は本当はまず、

机上では分からない基本の地図とコンパスの三次元を、

頭の中で構築できた方が良い気がします。

こちらは電池は必要ないですね(笑)

 

地図とコンパスの使い方をしながらの

山のご案内もしていますので、

よかったらぜひ遊びに来て下さい。

 

 

 

金副隊長の山岳救助隊日誌―山は本当に危険がいっぱい (角川学芸ブックス)

 

それとこの本は、

奥多摩の山岳警備隊の副隊長をしていらした

金さんの本で、

遭難とはどのようなものなのか、

リアルに知りたい方には一読をお勧めします。

 

 

梅雨入りしましたが、

よい山の季節の到来です!

山に!海に!!キャンプに!!!

たくさん(なるべく安全に)楽しんで下さいね。