おきらくごくらく。

山と自然。日常のあれこれの雑記ブログ。

洞窟おじさん。平成最強のサバイバル人生

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2003年9月12日、

一人のホームレスの男性が、自販機を壊そうとして逮捕され、

警察での調書でなんと14歳で家出してから43年間もの間、

自力で山や川でサバイバルして来たという

衝撃の事実が判明する。

 

エレベーターや携帯電話、トイレの流し方や

電気カミソリも知らない。

 

 

まず私はこの事件や作者の加村一馬さんのことを

全く知らなかったのですが、

加村さんの語りで書かれたこの本の内容に、

ものすごいインパクトを受けました。

 

 

昭和21年生まれで、

貧しい家庭で多くの兄弟のなかで、

なぜか自分だけ親の虐待を受けて

耐えられなくなって家から逃げ出し、

2日後に後を追ってきた愛犬シロと共に、

足尾銅山の洞窟で何年も暮らしたこと。

 

熱で寝込んだとき、シロが濡れた布を何回も

咥えて頭を冷やしてくれたり、

限界になったときウサギを獲ってきてくれたこと。

ヘビやカエル、シロと一緒に独力でなんと

イノシシまで捕らえて食べたり、

干し肉を作ったり、

クマに襲われたり、

教えられたわけでもないのにサバイバルの技術と

人から離れて山で暮らしたい気持ちで

生き抜いていたこと。

バカにされたら、骨折しても相手にかかっていき、

見込まれて仕事をしても

すぐに山に戻ってしまったこと。

 

読んでいて、

衝撃の連続です・・・!

 

そしてその素直な感じ方に非常に共感しました。

 

驚くような話の連続なんですが、

「いったい俺は何をやってるんだろう」と

死にたくなって首を吊り、

失敗して青木ヶ原樹海に行き、

さ迷っているときにふたつの遺体に出会って

腐って凄まじい状況だったのに

それを木から下ろした話には、本当に度肝を抜かれました・・・。

 

私の経験では樹海の中で食べ物に出会うことは、

季節にも寄りますがほぼ考えられないので、

何日もさ迷って出て来たのは、

何年も野生で生きて来た加村さんだったからではと思いました。

 

 

ヒトが荒野や完全な野生のなかで

サバイバルするのは様々なパターンがありますが、

遭難や事故、事件などで本人の意思ではなく、

不意に野生に放り込まれる他は、

サバイバルの技術に習熟し、

それを目的に自由を求めて入るパターンしか思いつきません。

 

とうぜん14歳の加村さんにはサバイバルの知識などなく、

わずかに家にいたときの記憶や、

生き抜くための自分自身の野生のカンで

43年間もソロサバイバルをし、

無事に生き抜いたというケースを

私は他に知りません。

 

 

 【野生で人間が見つかったケース】

★幼い頃に何らかの原因で野生動物に育てられる。

  1. ロムルスとレムルス(狼に育てられた双子。ロムルスはやがてローマを作った伝説の人物)   
  2. アマラとカマラ (同じく狼に育てられ、四つ足で走り、唸り、最後まで2足歩行と言葉を覚えることはなかった)

                                   【狼にそだてられた子】

            

 

 

★ある程度の年齢で自ら荒野にたった一人で入ったケース

  1. エイドリアン・ボーシャ (加村さんと同じ10代で、自ら望んでたった一人でアフリカの原野に入って行き、22年間をそこで過ごして 「白い呪術師」と呼ばれるようになった青年。)

    【アフリカの白い呪術師 ライアル・ワトソン著】

        

 

 

それにしても、

自力で様々なことをして来た加村さんの知恵と気力には、本当に驚きます。

虐待から逃げ出して、

自然の中での生活を選んだ気持ちは、

すごくよくわかる気がします・・・。

 

 

加村さんの放浪生活は、群馬県の大間々町から始まり、足尾銅山、福島県から新潟県、

富士の樹海からつくば市の小貝川と、

非常に広い範囲にわたっていて、

 

人との交流から逃げ出してしまい、

最後にようやく、

釣りで知り合い慕ってくれた青年家族と

生活し始めた様子に、

読んでいて心からホッとしました。

 

 

 

 

巻末のサバイバル術で

ヘビ・イノシシ・ウサギ・ネズミ・カエル・コウモリ・ハチ・鳥・魚の捕獲方法や調理法

可愛い図解があるんですが、

 

イノシシ穴の作り方とか、

私が縄文時代の発掘現場で見たイノシシの落とし穴

(深さ1.5m・幅1mの穴に、竹槍を3本上向きに刺す)

とそっくりで、

当時の加村さんがそんな事を知るはずもなく、

ヒトの知恵の発生はどこからくるんだろう?・・・と深く考えてしまいました。

 

ちなみに自分が落ちないために蓋はせず、

イノシシの通り道に作り、

自分がオトリになって突進してきたら

穴を飛び越えるという、

読みながらまるで縄文時代の追い込み猟をそのまま

眼にしているかのような気がしました。

 

 

洞窟での木とヒノキの枝を使った寝床の作り方は、

トラッカースクールで教えているネイティヴアメリカンの寝床の作り方とほぼ同じで、

加村さんいわく、家の布団より快適だそうです。

地面からの湿気や寒さ、

虫などからも守られるので、

これも自然から感知した人間の知恵なのか・・・と

驚くばかりです。

 

他にも

山の中でクマ穴と全く同じほら穴を作って住んでいたことや、

魚の獲り方、鳥の跳ね罠の作り方など、

わずか14歳で誰にも学ばず、自力で考え、

改良しながら生きてきたこと、

愛犬のシロとの生活など、

ご本人の言葉で語られている

もう本当に言葉も出ないぐらいのすごい本でした。

 

加村一馬

昭和21年8月31日、群馬県生まれ。

8人きょうだいの4男坊。

13歳で家出をし、愛犬シロと足尾銅山で

ヘビやカエルを食べ、生きる生活を選んだ。

以来43年間サバイバル生活を送り、

現在インテリア内装業につき、社会復帰を果たしている。    (本書より)

 

 

                          

 

 

私にとって人生で何回も読みたくなる本であり、

ご本人に会ってみたいと思わせられました。

 ご興味のある方はぜひ読んでみてください。