天野尚(あまのたかし)ネイチャーアクアリウム展
最終日に行ってきました!!(2018年1月21日 東京ドームシティ)
あまりの巨大さ、幽玄のうつくしさに圧倒された
佐渡の金剛杉。
どこか東山魁夷の絵を思い出しました・・・。
写真がどれも大変素晴らしかったです・・・・
何年も前から、
水中に非常にうつくしいアクアリウムを作った写真を
時々目にしていましたが、
この人が始めたとはつい先日まで知りませんでした。
天野尚氏、2015年 61歳で逝去。
佐渡の千竜ザクラ。
妙見山にいる、珍しい株立ちのミネザクラだそうです。
激しい風雨に枝が揺れています。
この方の経歴が興味深くて、
長年現役の競輪選手をしながら、ボルネオやアマゾンで
生態風景写真(膨大な自然の情報が一枚の写真に詰め込まれている)
を取りつつ、
それらの自然の美しさをアクアリウムのなかで再現しようと
水景クリエイターとして、世界的に有名になった方なのでした。
ミライノシテンさんのツイートで知り、
最終日になんとか駆け込みました。
天野尚のアクアリウム展!
— 秘湯探索ちゃん.mira (@mirainoshiten) 2018年1月16日
今週の日曜までやで!https://t.co/jWrgKkh0H9
タスマニア クレイドル山
正直、アクアリウムだけだったら、
見に行かなかったと思います。
昔熱帯魚を飼ったことがあり、
水槽を眺めていると、あっという間に数日経っているという
浦島太郎状態をよく経験していたのですが、(笑)
人工の水槽は数日おきの手入れや、
増えた魚たちをどうするか、
卵が産まれたら、病気になったらどうするかが
いつもその美しさの陰にはセットであることを
よく知っていたからかもしれません。
熱帯魚は増えてしまったからと言って、
日本の自然の中に放つことは出来ません。
もともとそこにはいなかったものなのですから。
自然のやっていることは本当にすごくて、
それを人工的に行おうとすると、
大変な労力や手間や技術、
そして時間とお金がかかります。
そして自分が山や海、
さまざまな自然のなかに入るようになって余計に、
そのままで完璧なうつくしさというものが自然のなかに存在するということを、
その一瞬に自分が気付くことができる目を、
持つことができるようになってきました。
連なる山脈に堰きとめられた雲海や、
富士山頂から見るカミナリや、
いきなり深く落ち込む海底や、
真っ暗な洞窟のなかで輝く氷柱や
川の流れる洞窟の天井に、満天の星のように無数に輝く土ボタルや、
まっしろな霧の中の苔の森に消えそうにたたずむ鹿の姿や
寒い日の夕空に現われる独特の赤い雲や
まるでシャンデリアのように枝から垂れ、鈴のように鳴る氷のしずくや
たぶん世界中の誰が見ても、
圧倒されて声も出ないうつくしさの瞬間というものが、
自然のなかにはリアルにいつも存在していると思います。
そして天野さんの写真は、
まさにその瞬間を捉えていて、
誰の心の琴線にも触れる
裏磐梯 秋元湖
そんな風景を切り取っていました。
奥入瀬
妙高
谷川岳
屋久島、白谷雲水峡
このようなよく山中や沢で目にする
小さな宇宙を、
アクアリウムで再現しようとされたのが
よくわかります。
上部から霧が出て、
壁面の植物を伝わって、
雨になって水面に落ちていきます。
水と植物、
光と空気と動物、
そして微生物との生態系という循環のサークル。
本来は自分がそのなかにあり、
風や空気や土の匂い、
冷たい水や魚や草や動物の体温や、
すべてのものを感じながらその光景を目にする。
天野さんはきっと
あまりにその自然とそのうつくしさが好き過ぎて、
生態系を再現しながら水槽をカンバスとして
自分も自然の中の命のひとつとして、
これらの水景を創り上げていったのではないだろうか
と思いました。
たくさんの人が、
これらの世界中にひろまったアクアリウムをみて、
実際の自然の中に自ら足を運んで、
たくさんのうつくしさを体験できたら
本当にいいなと思います。