古都京都。
日本の歴史の中で、ながく繁栄を極めた歴史の都。
人の数だけの無数の深いドラマと、
伝説と、魑魅魍魎と、情念と、不思議と、
そして実は、色濃い自然と人との関係の上に築かれてきた場所なのです。
この伏見神社を基点とした京都トレイルというルートがあるのですが、
観光客の死ぬほど多い京都は、
実は一歩外れて山に入ると、まったく人気のない深い山になっていて、
突然異世界に迷い込んだかのような気持ちになります。
伏見稲荷大社は、日本中のおいなりさんの総本山と言われる場所で、
色々な不思議な話にも出て来たり、
お稲荷様たちがここで修行をするのだという伝説があります。
稲荷、豊穣の神。
稲を食らう鼠を食べてくれるため、
狐の姿として描かれたという神。
この日は幸運なことに、
朝もやの中の木漏れ日が、本当に美しかったです。
この稲荷山は、東山三十六峰の最南端に位置し、
三つの峰にそれぞれ円墳があり、
三ノ峰からは神獣鏡が出ているそうです。
鳥居の向こうの光があまりにきれいだったので、
山頂手前で引き込まれるように踏み込んでいました。
踏み込んだ道は深草トレイル。
平安時代には、このあたりは貴族の憧れの別荘地だったそう。
人で混まないうちに伏見稲荷駅まで下り、
そこから蹴上駅まで移動します。
見事な紅葉盛りです。
南禅寺の中を通る水路閣。
なんと琵琶湖の水を京都市内まで運ぶ水路で、
1889年当時は蹴上に水力発電が作られていました。
現在は上水道の水源として使用されていて、
非常に美しい煉瓦造りの景観となっています。
そして喧騒を離れてここからが
まるで異世界の入り口。
実は京都は一歩山に入ると、
派生ルートがたくさんあり、標識などは少ないので
結構道に迷いやすい場所がたくさんあります。
その中のひとつの道に入り込んだ時、
突然きれいな水の淵に出逢いました。
小さいと思ったそれは、
近づくと意外にも大きくて、
佇まいが美しく水も澄んでいて、
あまりに静かで、
人が誰もいなくて、
まるで鏡のように周りの風景を写し込む水面に
しばらくの間心を奪われてしまいました。
ここはなんなんだろう
たまり池?
湧き水?
ずっと夜までこの池のそばで座ってしまいそうなところを、
日が暮れてしまうので、名残惜しい気持ちで大文字山へ。
ここが有名な大文字山の火台。
まるで古代の遺跡の様です。
標高は466m、
8月16日のお盆の夜、ここから送り火とともに見る京都の景色は、
いったいどんな感じでしょうか。
【京都トレイルとは】
京都一周トレイルは、伏見から始まる東山コース、
比叡山から鞍馬を含む北山東部コース、
北山西部コース、
西山コース、
それと少し離れた京北コースとで形成された
繁華街としての賑やかな京都の街をぐるっと囲む、
実は結構ハードで端々に古い歴史と深い自然の、
日本の中でも類まれなトレッキングルートです。
ハイキングというにはちょっと難易度高めなので、
ところどころのポイントを、電車移動でつなげて回るのもオススメです。
京都トレイルの地図は、京都の書店で500円ほどで販売されていますので、
ぜひ参考にしてください。
今回辿ったのは、11月の頭の紅葉の時期を狙って
伏見神社から深草トレイル、
その日に電車で移動して南禅寺の水路閣から大文字山を通って銀閣寺、
翌日に比叡山から鞍馬山というルートでした。
比叡山からのコースは、またアップしたいと思います。
京都の周囲がこんなに深い山で囲まれているなんて、
じっさいに来るまでまったく知りませんでした。
そしてその端々に、実は非常に深い歴史の足跡が点在しているのです。
京都トレイルは電車移動がオススメで、
京都はマイカー移動や駐車はまず無理、
安めのゲストハウスやレンタル自転車は多いので、
そういったところと公共機関を利用して、
のんびりトレイルを巡って見るのも良いと思います。
人混みが苦手な私には、
京都はなかなか手強い場所なんですが、
この古都の周囲を巡るルートからみた歴史と自然は、
教科書や本で読んだ以上の 言葉に出来ない多くの情報を
こっそりとひそやかに、
まるで耳打ちしてくれたかのようでした。