おきらくごくらく。

山と自然と不思議。日常のあれこれの雑記ブログ。

宝石のような青い湖水とブルーポピーと白い馬の国。

世界には信じられないような美しい場所というのが、本当にあります。

 

宝石のような青い九寨溝の湖水

宝石のような青い九寨溝の湖水

 

 

中国の四川省九寨溝の自然は、

ほんとうに圧倒されるような美しさを内蔵しています。

 

四川省の首都、成都から450km、車で8〜10時間以上かかる

アバ・チベット族チャン族自治州にある、

九つのチベット族の村のある、人にまったく知られていない美しい場所でした。

 

石灰岩質で、標高4000〜4500mの高山が500kmにもわたる岷山山脈の南側にあり、

 

標高2000〜3400mの高さに

全長30kmの長さに及んで100以上の湖水池が連なる、

深い渓谷と豊かな森林と水に満たされた、

奇跡のような場所です。

 

ここにはジャイアントパンダや、

孫悟空のモデルになったというキンシコウという猿などと、

美しい衣装に身を包んで日々の生活を営んでいたチベット族の人々が暮らしており、

1970年代に森林伐採の労働者により、外部の人間に発見され、

その後政府の要人が訪れて、現在のように観光地化されていったようです。

 

雅安熊猫保護センターのジャイアントパンダ


ジャイアントパンダは、本当に不思議な生き物だと思います。

雑食で肉食もする熊の特徴の牙と腸を持ったまま、

環境に適応したのか竹だけを食べられるように進化し、

上手く竹を握れるように、第七の指と言えるものまで前足に作り出しました。

何かをつかむ時に、親指を4本指の反対側にまわして包み込むように使えるのは(対置)、

人間やゴリラ、メガネザル、ヤモリ、アマガエルなどで、猿でさえその親指の使い方は出来ないものが多いのです。

 

木からぶら下がって寝ている仔パンダ

木からぶら下がって寝ている仔パンダ

飼育員さんがいくら叫んでも帰って来ません(笑)


たれぱんだってまさにコレだな〜〜って思いました。

 

 

 

 

石灰で石化していく湖底に沈んだ木々

石灰で石化していく湖底に沈んだ木々

 

 

2003年に、九寨黄龍空港が開港し、空港からは1時間半で行けるようになりましたが、

2025年開通予定の成蘭線という国鉄が出来れば、

なんと成都から約2時間の近さになります。

信じられない・・・・。

この10年の中国の発展の仕方には、

日本人の想像をはるかに超えるスピードで進んでいるとしか思えません。

 

ちなみに九寨黄龍空港の標高は3500m。

7月の成都の気温33°からいきなり10°に下がった上、

高山病にもかかりやすいので、慣れないうちはゆっくり動くようにします。笑

 

九寨溝や黄龍には入場人数制限があり、昔は外国人観光客を優先的に入れていましたが

現在は新型コロナウイルスのため、外国人の入場は認められていないようです。

それまで1日の入場者数3万3000人以上だったのが、現在は8000人ほど。

 

2017年8月8日の九寨溝地震によって、

死者・負傷者280人以上、

火花海の水が抜け、土石流の流入も起こるなど、

自然の受け入れざるを得ない変化を考えると、

出逢えた一瞬が奇跡の連続なのだと強く思います。

 

 

余談ですが、

映画「グリーンディスティニー」に九寨溝が使われたとき、

湖の中に作った東屋の跡の原状回復が出来なかったため、

ここではもう2度とそのような撮影などは出来ないことになりました。

泳いで捕まった人もいます。笑 



 

花びらの先がくっついていたピンクのチョウチンユリ

花びらの先がくっついていたピンクのチョウチンユリ



黄色いチョウチンユリ

黄色いチョウチンユリ

 

 

池から池と流れる湧水

池から池と流れる湧水

 

流れ落ちる水が真珠のようだという珍珠瀑布(真珠瀑布)

流れ落ちる水が真珠のようだという珍珠瀑布(真珠瀑布)

 

流れに差し掛かる愛らしい野ばら

流れに差し掛かる愛らしい野ばら

 

ピンクの小さめ花をつけたツツジ

 

九寨溝の中での移動は低公害のグリーンバスに乗って、

ところどころで降りてゆっくりハイキングをします。

諾日朗にはレストランや土産物があり、

ここからルートはふたつに分かれます。

最高地点の長海(3100m)に向かうルートと、

煎竹海や熊猫海、五花海に向かうルートです。



真っ黒な体に白い帽子、オレンジの尾羽の小鳥

ジョウビタキの仲間でしょうか?

真っ黒な体とつぶらな瞳、白い帽子にオレンジの尾羽根。

こんなキレイな小鳥、初めて見ました。

 

 

グリーンの湖水

 

見所がたくさんあるのと、

乗り継ぎのバスを待つ時間などもあり、

ひととおり廻るには、2日間ほど必要なので、

入り口にあるホテルに泊まる感じになります。

 

桜のようなウツギの花



 

ブルーとグリーンの色が移り変わる、宝石のような湖水



 

こちらの山岳地帯の池や沼には「海子」という名前がついているのですが、

巨大な中国大陸の山岳地帯では昔、

「海って聞いたことあるけど見たことない」

という人たちがほとんどで、池や湖や沼には

「海ってこんな感じ?」

ということで「火花海」「長海」「熊猫海」「五花海」などの名前がついているそうです。

なんだか可愛いですね

 

そういえば、昔ネパールのシェルパ族の人を海に連れて行ったら

『いっぱいの水‼️』

本当に驚いていたと、友人が言ってました笑

そして海のものを食べたら、お腹を壊してしまったと。

消化のための菌や酵素を当然持っていないんですね・・・。

日本人が海外でお腹を壊すのも同じこと。

 

人は生まれた場所が基準で懐かしい光景となり、

違う場所に出会って世界の広さを感じるものなんですね。

 

大きくて色あざやかなクサジンチョウゲ

大きくて色あざやかなクサジンチョウゲ

 

まるでシラネアオイのような大きくて美しい花




濃いピンクのシオガマ

濃いピンクのシオガマ



 

黄色味がかったグンナイフウロ

黄色味がかったグンナイフウロ

 

 

色とりどりの花たち

色とりどりの花たち

 

横に長く延びる瀑布と山々

横に長く延びる瀑布と山々

 

はためくタルチョ

 

 

パゴダ

 

 

鏡面のような緑の湖

 

このような美しい場所で生まれて暮らすというのは、

一体どのような気持ちなんでしょうか。

 

今や大量に人が訪れる大観光地となった九寨溝。

地元のチベット族の方たちが、中でお仕事をされていて、

大きく生活が変化したと聞きます。

ちなみに九寨溝の中で宿泊することは、

ここで暮らしていた地元の人以外は、現在では出来ません。

 

 

九寨溝を出て、川主寺まで戻り、黄龍へ。

 

黄龍古寺

黄龍古寺

 

石灰岩が氷河に侵食されて出来た地形に、落ち葉などの堆積物が石灰水によって

長い時間固められて出来た棚田のような連続する湖水。

その寺のある頂点を頭に見立てて、

渓谷の中を、美しいエメラルドブルーの鱗を持つ龍が

横たわっているように見えるという黄龍

 

標高3550mの五彩池

標高3550mの五彩池

 

標高3199mの迎賓彩池から、歩きで2〜3時間ほどなのですが、

標高が高いため高山病になる人も多く、

途中から酸素を吸える東屋が点々と設置されました。

鼻からチューブを突っ込むタイプでしたが、現在はどうでしょうか。

ここはずうっと木道の歩きになります。

 

麓からロープウエイも設置されているので、

下りだけを歩くということもできますが、高山病にはくれぐれもご注意。

 

美しい棚田のような池が連なる

美しい棚田のような池が連なる

 

白い棚田のような湖

ところどころ、足を止めたくなる風景です

 

 

 

おとぎの国のような苔むした東屋

おとぎの国のような苔むした東屋

 

 

 

そして四姑娘山(スーグーニャンシャン)の南側、

四姑娘山大峰(大姑娘山タークーニャンシャン5025m)へ。

最高峰6250mのヤオメイシャンをなぜか末娘として、

三峰・二峰と小さい方がお姉さんの呼び方になっています。

 

標高3100mから始まるお花畑

標高3100mから始まるお花畑

 

麓の日隆(リーロン)から1時間で稜線に出ると、

そこからがものすごい花・花・花・・・・!!!

踏まずには歩けないほど。

エーデルワイス(ウスユキソウ)やクサジンチョウゲ、シオガマ、ニリンソウ・・・。

世界でもこれほどのお花畑が見られる場所は、

そうは無いのではないでしょうか?

 

特に四川省で見られる高山植物は、

今まで日本で見て来たものより大きかったり、

色が非常に多彩でバリエーションに富んでいる気がします。

 

岩から生える白い花

 

名前のわからなかった濃いピンクの花

 

 

サクラソウ

サクラソウ

 

アネモネの一種

アネモネの一種

 

シオガマの仲間

シオガマの仲間

タツナミソウの仲間とトラノオ

タツナミソウの仲間とトラノオ

 

たくさんの花の美しさに、ため息です・・・・。

 

そしてこの登山開始の時に、日本では見られなかった皆既日食が

偶然始まったことがあり、

あたりが暗くなって風が吹き始め、たった3分の間でしたが、

中国の昔の人が龍が太陽を喰らうといって恐れたのも無理はないと思いました。

得がたい体験でした〜〜〜

 

 

 

 

老牛園子遠景

ベースキャンプの老牛園子

 

 

標高3800mの老牛園子と白い馬

標高3800mの老牛園子と白い馬

 

この子たちは、荷物を運んでくれたり、乗せてくれたり。

美しい高山植物の咲き乱れるなかを馬で移動するのは、

夢のような素晴らしさでした。

 

 

 

そしていよいよキャンプ1の、ブルーポピーの生息域へ。

 

ブルーポピーの生息地

ブルーポピーの生息地



幻の花と呼ばれるブルーポピー。

ベースキャンプの標高3800mの老牛園子から上の4500m付近まで、

霧の降りるゴツゴツした岩場に

濃い青から薄いピンク、そして赤まで、色もとりどりに点々と咲いています。

 

 

薄紫色のブルーポピー

薄紫色のブルーポピー



ブルーより数の少なかったイエローポピー

ブルーより数の少なかったイエローポピー

 

青いブルーポピー

独り毅然と立つ





露に濡れて透き通る花びら

露に濡れて透き通る花びら

 

この美しさと、ここに生きる命をいつまでも

自然のままに残って欲しい。

 

 

 

おまけ

 

鷹にさらわれて落ちて来たマーモットを懐で育てるカーさん

鷹にさらわれて落ちて来たマーモットを懐で育てるカーさん


ベースキャンプマネージャーをしてくれていた方で、

再会したとき聞いたら、

「元気になって逃げられてしまった」と少し寂しそうでした。笑

ケガが治って良かった。

またカーさんに会いに来てくれるといいな。

 

 

追記

日本でブルーポピー を実際に見てみたい方は、

白馬五竜高山植物園へぜひどうぞ。 

www.hakubaescal.com

 

 

 

www.nekosippona.com