今日は久しぶりに都会に出かけました。
去年は足の手術で出られなかったので、2年ぶりのガイド協会の総会です。
去年から仕事は調子を見て少しずつ復活していましたが、
同じガイド同士で会う機会も割と少ないので、ほぼ2年ぶりにお顔を拝見する皆さん。
長年の知り合いの一人が、
去年北アルプスのガイド中に、いらした女性がまったく歩けなくなり、
ビバークを余儀なくされ、翌日ヘリの要請をした話を聞きました。
2時間ぐらい先の小屋に他のお客さんとサブには先行してもらい、
小屋の人がポットや食料、寝袋まで運んでくださったのだとか。(涙)
翌日女性はやはりまったく歩けなかったそうで、
アンザイレンしてほぼ引き上げるように、ヘリが着ける場所まで行って病院へ搬送。
その後ガイドは一人で小屋に貸していただいた装備をお返しし、
単独で下山したようですが、帰りの手段も含め大変な重労働だったとのこと。
いろいろな状況もあるのですが、
もっとも心が折れたのが、その女性からその後まったく何の連絡もないことだそうです。
私たちは事故や救助、何かの手助けをしたりされたりは
必ずあることなんですが、
警察や小屋、関係各所に事後お礼の連絡をしたり、挨拶に行ったり、
報告をしたりとかは当たり前のことで。
場合によっては直接こちらに関係がなくても、いろいろ連絡したりもします。
まあ普通のことだと思うんですけど。
ご本人からまったく連絡ないときは、
「すみません・・・」と先方に連絡のないことまで謝ります。
お客さんが自分の体力の衰えや、ビバークの事態になってショックだったのも
充分にわかります。
でもビバーク、ヘリ要請、荷物運び、小屋への往復、
病院、他のお客さんがガイド不在の状況になってしまった事、
ガイドにとっても相当ヘビーな状況です。
極たまに、当たり前みたいな態度する人がいて、
他の星から来たのかな?
って思うことがあります。
私は2度ほど丁寧なお礼や絵手紙をいただいた事があり、
幸いなことにお二人共お元気になられて、
その後山ですれ違って大喜びで声をかけていただいたりすると、
こちらも本当に嬉しくて、苦労なんて忘れてしまうんですけど。
今でも富士山のガイドでは高確率で、下山の際に2人ぐらい膝を痛めたり
歩けなくなる方が出るので、自分の荷物含め3人分を担いで下山することも
しょっちゅうです。
だからガイドはみんな富士山嫌がります(笑)
(普段山なんかやらない人たちがいきなり日本の最高所の登山なんて、実はめちゃくちゃリスクが大きいからなんですね。)
こういうことや若い頃から重い荷物を担ぎすぎた事が、
長い時間かけて股関節が潰れて行った原因の一つになっていると思います。
今は会わないですが、10数年前の百名山ブーム真っ盛りの頃は、
「ガイドに荷物を持ってもらえば?」なんて平気でいう勘違い人がいました。
山には、あるいは人生でも良いですけど、
自分で担げない荷物は、持って来てはいけませんよ。
人を当てにするのは間違いですよ。
上記のガイド歴の長いその人は、
去年その件で相当しんどい思いをされて、
奥さんにも「もうやめたら?」と言われたそうです。
ご本人も考えたと言っていました。ひょっとして今も考えてるかも。
自然の中でのトラブルは致し方ない事なんですが、
グループで行動する時、基本的には一人が動けなくなると全員が遭難します。
またはその可能性が非常に高くなります。
そしてピストンより縦走登山の方が、よりその確率は高くなります。
初めて行く山に自分の体力と技術が合っているのかは、
その山域をまったく知らない人には非常に計るのが難しい。
特に北アルプスは名前とキレイな写真だけに憧れると、
まったく違う体験をすることも多々ありますので、
「危なかった」というケースのお話も、いろいろ頭に入れておくことをお勧めします。
金副隊長の山岳救助隊日誌―山は本当に危険がいっぱい (角川学芸ブックス)
奥多摩で山岳救助隊されていた金さんの救助日誌。
私のオススメの一冊です。
いったん通り過ぎてまた戻って入ったカレー屋さん。
昔懐かしい黄色のカレーで、小皿に入った紅生姜や福神漬けが
カウンターにぐるっと並んでいて、メニューは普通盛り550円と大盛り700円しかなくて、
何だかとっても美味しかったです。
新橋駅から日比谷公園に向かう途中にあります。
近くに行ったら是非行ってみてください。