信州 遠山郷 下栗の里。
日本のチロルと呼ばれる標高800〜1000mの急斜面に存在する里です。
南アルプス光岳(てかりだけ)や聖岳(ひじりだけ)に行く時に、
いつもお世話になっていた宿がありました。
本当ならあの雲の向こうに聖岳が見えます。
大好きなお宿です。
いつもニコニコとお父さんやお母さん、ご家族で出迎えていただきました。
そしてここで初めて目にした不思議な神社。
みやしたのお父さんがいつもわざわざ開けてくださったんですが、
入り口からして非常に変わっています。
普通の神社の作りではなく、入口は左の引き戸だけ。
実は右奥にも戸があるのですが、
左は生きた人間の入り口、右奥は亡くなった魂の入り口なのだと聞きました。
様々な形の紙垂の下がった天井と、
腕のように天井に伸びる藁の綱。
こんなもの、
今まで見た事がない・・・。
実はここ遠山では、12月に行われる霜月祭りというものがあって、
遠山郷の九箇所の神社で、平安から鎌倉時代の宮中祭祀が
ほぼそのままの形で伝承されているのだそうです。
(重要無形民俗文化財)
深夜零時に始まる、
盛大に燃えるカマドの火と、次々に現れ周りを舞う39面の神様。
煮えたぎるカマドの釜の湯を、素手ではねかける「湯切り」。
天井に伸びる【三大山(さんたいやま)】。
煙となった神様は、
あそこから出て行くのでしょうか。
拝殿の中にある、
年に一度の神様と人の交流のためだけの
聖なるカマドです。
長く垂れた紙垂は【十六天】。
正面に「日天」「月天」「徳利(とっくり)」「鳥居」「橘」「下がり藤」、
向こう正面には「七条格子」、左右には「横一文字」。
いつもご馳走になるこの焼きじゃがいもが、もう本当に美味しいんですよね〜〜
大好物です。
ここに来るまで、みやしたさんに宮崎駿監督がたびたび泊まりに来ていたなんて、
ぜんぜん知りませんでした。
宮崎監督からプレゼントされたという絵本を見せていただいたんですが、
「千と千尋の神隠し」のモデルになったという場所を
いくつか聞いた事があったんですが、
「神様がお風呂に入る」ってひょっとしてこの霜月祭りのイメージだったのかあ
そしてこの絵本はこのみやしたさんそのままでした。
温かいおもてなしと美味しいご飯と素晴らしい景色と、
強烈なインパクトだった十五社大明神。
何年もお世話になっていた大好きな宿だったんですが、
お二人が高齢になられて、大人数はもう受けられないという事で、
少人数の予約のみになっていたんですが、
現在はお休みされていらっしゃるようです。
朝は早くから日が差し、一日中働きづめで
お嫁に来るときは周りから大変だよと言われたと言ってらしたお母さん。
また皆さんの笑顔を見に行きたくなる、
そんな得難い宿でした。
下栗の里は、車で行くのもなかなか大変なところで、
特に霜月祭りの時期は、駐車できる場所がないので
必ず宿の予約と問い合わせが必要です。
12月13日に始まるのですが、10月ぐらいに予約しようとしても
すでに取れない状況になります。
それと余談ですが、
この近くには、日本で唯一国際的に認められた御池山隕石クレーターがあり、
御池山山頂の700m下に、名前の由来となった御池があります。
(直径45mの小惑星が、2〜3万年前に衝突したのだとか)
エコーラインの駐車場からハイキング道で往復2時間だそうです。
行ってみたい。