小屋閉めとなる10月16〜17日の最終日、
ゲストの方とご一緒に、個人ガイドで白山に行ってきました。
石川県と福井県と岐阜県にまたがる白山国立公園の最高峰。
標高2702mの活火山です。
命の水を供給してくれる巨大な霊峰。
加賀白山は、「天上の楽園」「日本三大霊山」など、様々な名で呼ばれていますが、
なぜか私もとても惹かれる山なのです。
今回は白山を祀る神社、
「白山比咩神社(しらやまひめじんじゃ)」に
ご挨拶からスタートしました。
はるか御前峰の奥院を望むための遥拝場所があります。
白山の御祭神は白山比咩大神(しらやまひめおおかみ)、
またの名を菊理媛尊(きくりひめのみこと)。
黄泉の国の境で争うイザナギ、イザナミの神の仲裁をしたと言われる女神です。
古事記と日本書紀の本文には出てこないのですが、
日本書紀の第十に一度だけ現れて、仲裁の時に何を言ったのか、
またどういう出自の神なのかは一切わかっていないのだとか。
富士山の神はコノハナサクヤヒメ。
同じく水を豊かに与えてくれる霊山にふさわしい、
美しい女神が自然と人々の心にイメージされたのでしょうね。
白山から流れる水が川となって日本海へと注ぐ手取川。
そこに現れた豊富な水量の落差32mの大滝です。
前からぜひ見てみたかったところです。
ここが今回の登山の入口になります。
マイカー規制の期間中の土日は、ここからバスに乗り換えることになります。
とてもキレイな待合室です。
コロナと最終日とすでにマイカー規制が終わっているせいで、
誰もいません。
ここから先は、白山比咩神社の聖域となります。
向かうは砂防新道。いきなり急登の開始です。(笑)
水もトイレもキレイです。ここですでに1962mあります。
ランチや休憩にピッタリで、展望も素晴らしい。
ここから見上げると、大きな台地の上に白山があると感じます。
巨大だなあ
真っ赤な紅葉というよりは、黄葉の色づきですね。
高度を上げて黒ボコ岩を過ぎると、
あとひと登り、20分ほどで室堂着です。
白山室堂ビジターセンターと、白山奥宮祈祷殿。
【音量注意です!】
白山室堂ビジターセンターは、本日最終日。
— ねこしっぽな@mountainguide (@amoamoi2012) 2021年10月16日
これからはエキスパートの山になります。山小屋は閉められ、白山は徐々に冬を迎える準備です。 pic.twitter.com/mPde9GYWBX
順調にここまで来ましたが、ゲストにこの時高山病の症状が出ました。
ここはすでに2450mあるので、調子が悪かったり睡眠不足だったり、
途中急いだりすれば、高山病は出やすいです。
お天気も良いのでゆっくり1時間ほど休憩し、
登れるペースで山頂を目指します。
お池をぐるりと巡るのはまた今度。
予報では明日から崩れて吹雪になるとか。
覚悟していたのですが、信じられない好天に恵まれました。
立山、劔、穂高から乗鞍や八ヶ岳、御嶽山まで、
素晴らしい大展望でした。
明治の廃仏毀釈で、白山に祀られていたほとんどの仏像は
降ろされたり壊されたりしましたが、この石仏は残されたものなのでしょうか。
(麓の白峰温泉の林西寺に、守られた仏像が安置されています。)
食堂で夕食をとっていると、
みるみるうちに空が美しいあかね色に。
慌てて外に駆け出しました。
こんな色のこんなに美しい日没は、初めて見ました。
夜中に目が覚めて外に出ると、
白山の山頂から頭の上を越えて指のように何本もの薄い雲が伸びていました。
珍しい光景でしたがカメラには写らず。
夏だったらお花が見られる観光新道を下るのですが、
ゲストの体調と天気を考慮して、同じ砂防新道を下ります。
結局、下山して温泉に入り、
金沢駅に着くまでほとんど降られることもなく、
ほとんど人のいない秋の白山を、ゆっくり堪能することが出来ました。
白山は自分にとってちょっと特別な山なので、
今回たくさんのことに恵まれて本当に感謝です。
白山の夏は、高山植物のお花畑が満開です。
お池巡りはチャンスがあったらぜひ行って欲しい、素晴らしい景観です。