おきらくごくらく。

山と自然と不思議。日常のあれこれの雑記ブログ。

まつろわぬ国、恐山。東北の旅1

三途の川の蜘蛛の糸。

三途の川の蜘蛛の糸。

 

東北というと、古くからの「まつろわぬ国」とか、

「鬼」とか、

何かなつかしさと憧れと不思議と人の暖かさと、

いろいろなものが混ざった気持ちになるのですが。

 

印象に残った場所のひとつが恐山

 



恐山の冷水(ひやみず)

恐山の冷水(ひやみず)

 

行く途中も恐山の中でも、ほとんど人に出会わなかったのですが、

何キロか手前で水場がありました。

長い道程を歩いてきた昔の人々には、とてもありがたかったでしょうね。

若返りの霊水だそうです。

 

ここの手前でリュックを背負って独り歩く外国人の青年がいて、

声をかけようかと思ったんですが、

その表情がとても真剣だったので、かけずじまいになってしまいました。

独りで想いを込めて歩く人もいるので、難しいところですね。

 

 

三途の川の太鼓橋

 

三途の川

三途の川

ついに来ました。

ここがこの世とあの世の境目ってやつですね・・・。

 

奪衣婆と懸衣翁

奪衣婆と懸衣翁

 

ちゃあんと橋の手前にいました門番が。

奪衣婆(だつえばあ)と懸衣翁(けんねおう)です。

身ぐるみ剥がされた上、ここで生前の悪業の重さを衣類によって計られて、

この後閻魔さまに裁定を受けるのだとか。

 

「覚悟はいいか。」

 

 

宇曽利山湖

宇曽利山湖

 

あの世を思わせる不思議な眺め

あの世を思わせる不思議な眺め

 

この日はお天気のせいもあるでしょうが、

とても不思議な雰囲気でした。

人もほとんどいません。

ちょっといつもと全然違う場所に入り込んだような感じがしました。



三途の川を渡ります。

三途の川を渡ります。



恐山山門

おお、あれは・・・。



恐山山門

迫力ある佇まいです。

 

門をくぐると

奥に見えるのが、恐山菩提寺地蔵殿。

奥に見えるのが、恐山菩提寺地蔵殿。



うおっ、何ぞあれ・・・?

うおっ、何ぞあれ・・・?



みごとな石造りの親子の亀です。

みごとな石造りの親子の亀です。

 

地蔵堂でご挨拶してから奥の山に向かいます。



山へ。

山へ。



振り返ると来た場所が見えます。

振り返ると来た場所が見えます。



もっとも奥まで行ってみると

もっとも奥まで行ってみると



恐山奥の院

恐山奥の院

恐山もまたこのブログではよくあるように、恐山という山ではなく、

宇曽利山湖というカルデラ湖を囲む外輪山と火山の総称です。

蓮華の花びらに囲まれたような場所とも例えられています。

 

アイヌ語の「ウショロ(くぼみの意)」が宇曽利山(うそりやま)に変化して、

それが恐山(おそれやま)になったとか。

いきなり恐いという意味の字になりましたが、

ここの地獄には火山性のガスが充満していて、

頭痛などの軽い中毒症状を起こす人がいること、

その影響で生き物が少なく、

湖などの水が異常に透明なのも、ガスが溶け込み酸性値が非常に高いのだそうです。

 

行った時にはぜんぜん知らなかったんですが、

この場所の土壌には、砒素硫化水素が含まれており、

動物や草木も生えない、魚も住めない場所があることや、

火山ガスの影響で体調が悪くなるのは心霊現象ではないとWikipediaにありますが、

そういうこの場所の特殊性も、

恐山たらしめているのかも知れませんね。



慈覚大師説法の地

慈覚大師説法の地

 

恐山の開祖は天台宗の慈覚大師円仁

比叡山延暦寺最澄の弟子となり、

師の代行を任せられたのは10人の有名な弟子のなかで彼ひとり。

最澄の死後、3度目でようやく最後の遣唐使として入唐し、

師の学んだ天台山へ向かうも皇帝に許されず、

その後の彼の道のりは非常にドラマチックで、

「入唐求法巡礼行記」という旅行記を残しています。

唐の衰退するさまや、長安から大量の経典や曼荼羅とともに脱出する様子は、

当時の現地のさまざまな方の協力や、

現地に残って仏教を極めようとした日本人僧や、

たくさんの人々の好意と、最澄から続くさまざまな縁を感じます。

 

9年6ヶ月後になんとか無事に帰国した円仁は、

最澄も空海も持って帰れなかった経典や曼荼羅などを多く書き写して持ち帰り、

その後の密教の発展に多大な寄与をしたそうです。

このとき54歳。

そして時の皇帝武宗の廃仏・弾圧により、中国から密教は衰退していきました。

 

円仁が開山した寺は540以上あるとされ、

浅草寺平泉中尊寺も円仁が開祖といわれています。

すごすぎないですか・・・・。

人生でいったいどんだけの距離を歩いたんだこの人・・・・。

 



水子供養の池



睡蓮と池に映る太陽



水子供養の池

水子供養の池



地獄から極楽へ

地獄から極楽へ



極楽浜と宇曽利山湖

極楽浜と宇曽利山湖



火山性の噴出物とも混じり合って、不思議な流れになっています。

火山性の噴出物とも混じり合って、不思議な流れになっています。



極楽浜

 

対岸の山々

対岸の山々

 

目まぐるしく天気と景色が変化していきます。

目まぐるしく天気と景色が変化していきます。

 

極楽浜

 

静かで美しい湖です。

静かで美しい湖です。

 

日が射すと、白い砂浜に透きとおって静かな湖面。

日が射すと、白い砂浜に透きとおって静かな湖面。

湖の中に何かいる!

湖の中に何かいる!



 

後から宇曽利山湖酸性が強すぎて生き物がいないと聞いたのですが、

水生昆虫がいました!小さなヤゴみたいです。

調べたらどうやらウグイもいるらしい。

ここに住むウグイは、宇曽利湖ウグイと呼ばれ、

世界でもっとも酸性度の強い湖に住む魚類なんだそうです。

 

人にほとんど会わなかったのもあり、

あの恐山であるという意識はほとんどなく、

特殊で美しい雰囲気の場所だなあと、ただそればかりを堪能していました。

本当に静かで綺麗でした。



極楽浜という名前も意味深く感じる景色です。

極楽浜という名前も意味深く感じる景色です。

 

砂浜がキラキラしています。

砂浜がキラキラしています。

 

手に取ってみると

手に取ってみると

 

水晶のような物や、まるでサンゴのような細かなカケラです。

水晶のような物や、まるでサンゴのような細かなカケラです。

 

この場所で唯一、ドキッとした物。

この場所で唯一、ドキッとした物。

 

とても人懐こいカラスでした。

とても人懐こいカラスでした。

カラスしか目立つ生き物を見ない場所というのも、

恐山のイメージを強めていそうですね。

本当は小鳥たちがたくさんいると思いますが、天気のせいかほとんど会えず。

 

ぐるりと周囲を廻ってみます。

ぐるりと周囲を廻ってみます。

 

なんだかリゾートラグーンのようにも見えます。

なんだかリゾートラグーンのようにも見えます。



日射しで風景がどんどん変わっていきます。

日射しで風景がどんどん変わっていきます。

 

硫黄の噴き出す修羅王地獄

硫黄の噴き出す修羅王地獄

火山ガスが出ています。

火気厳禁です。



地獄から見た地蔵堂

地獄から見た地蔵堂

 

 

恐山には温泉がいくつかあり、

入山料五百円を払えば、無料で入ることができます。

 

湯殿山もそうなんですが、

空海始め昔の偉大な先達方は日本中を歩き回り、

古くから聖地としてたぶん特別視されていた場所に開山し、

そこに詣でることは当時は信仰と同時にエンターティメント、

今のディズニーランドのように人々を惹きつけたのだろうなぁと思います。

 

この世でないかのような景色、

火山という自然の力への恐れ、そしてその恩恵である温泉。

長い道のりを歩いて来て、

あの世とはこのような穏やかで静かで人が住めない場所に、

地蔵と仏の慈悲が住まう場所なのかと

しばし憩える場所だったのではないでしょうか。

 



恐山温泉 古滝の湯(女湯)

恐山温泉 古滝の湯(女湯)



昔ながらの温泉です。

昔ながらの温泉です。



腹の底から気持ちいい〜〜・・・。

腹の底から気持ちいい〜〜・・・。



宿坊 吉祥閣の前からも温泉が湧いています。

宿坊 吉祥閣の前からも温泉が湧いています。

 

ボッコボッコしています。

ボッコボッコしています。

 

最後に小さな山の山腹にある、

八大龍王善神稲荷大明神にご挨拶しました。



八大龍王善神

八大龍王善神

 

吉祥閣と地蔵堂

吉祥閣と地蔵堂

 

ここから恐山の見納めです。



恐山展望台からの宇曽利山湖

恐山展望台からの宇曽利山湖



最後に恐山展望台から見渡す下北半島国定公園です。

宇曽利山湖の右側に、先程までいた恐山菩提寺があります。

この少し南に下った釜伏山(恐山最高峰)の展望台からは、陸奥湾を見渡す事が出来ます。

 

旅はまだまだ続きます。

 

 

 

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