北アルプスでいちばん好きな光景のひとつ、鷲羽池。
黒部川の源流に、鷲が翼を広げたような姿で立つ
鷲羽岳の中腹に昔からある池で、
有名な版画家吉田博もこのほとりでビバークをしながら
北アルプスのスケッチをしていたようです。
明治時代に日本アルプスを始め、
ヨセミテなどの世界の自然を、浮世絵から続く
日本の版画の技術で見事に作り上げたその美しさは、
ひと目見ただけで心を奪われます・・・。
尖った山頂を見せる槍ヶ岳とそこに続く北鎌尾根の稜線が、
天を突き刺すような姿を見せています。
左奥には常念岳の頭。
乗鞍や御嶽山も見えます。
素晴らしい絶景です。
有名な【風雪のビバーク】は、厳冬期にあの北鎌尾根に向かった2人の青年の最後の様子が、
発見されたメモに書き残されていたものです。
当時の天才クライマー松濤明の最後の言葉は、
あの雪と氷と死へと至る激烈な寒さと、絶望と諦念と、
そして生命の輪廻を想起させる、
一度知ってしまったら忘れることの出来ない、
山登りをする1人の人間の心の世界です。
山に興味のある方には、ぜひ一度読んでみて欲しいです。