あまりに夏の初っぱなから暑いので、
涼しい気分になれそうな記事をお送りします。(エライ)
暑いですね。
— ねこしっぽな@mountainguide (@amoamoi2012) 2022年7月3日
少しでも気分が良くなりますように、涼をお届けします。(音量注意) pic.twitter.com/COInm4jh16
海外の方からちょっと変わったガイドオーダーをいただいた時の事。
以前から行こうと思っていた場所のいくつかを、下見で回って見た時に
偶然行き着いた陣馬の滝。
(いまTVのCMで流れていますね)
小さいながらグルリと周囲の溶岩層の間から湧き出す水と、
上流から流れてくる水とが合わさって、
水量豊かな滝を創り出しています。
この日はまったく人に会うこともなく、
本当に美しい場と緑と空気の中で、
富士山の麓の水の豊かさを堪能しました。
— ねこしっぽな@mountainguide (@amoamoi2012) 2022年7月3日
この陣馬の滝は、建久4年(1193年)5〜6月に源頼朝が富士の巻狩りをした際、
この側に一夜の陣を敷いたということで名付けられたのだそうですが、
その時に滝壺から「ドンドン」と太鼓を打つような音がして、
翌朝調べさせるとこの滝壺の中から太鼓の胴の形をした石が出てきたそうで、
現在この太鼓石は滝から少し離れた場所にあります。
またもや大河ドラマ「鎌倉殿の13人」のタイムリーな場所ですね〜(←見てない)
太鼓石が置かれたあたりに陣があった(テント泊?)のかと思うと、
なんだか829年前のことがなんとなくリアルに想像できそうですね。
綺麗な水が水中に美しいバイカモをたくさん育んでいます。
お昼食べたいね〜〜と入ったお店が大当たり。
今までに食べたことのない、
非常に美味しいお蕎麦でした。
この近くの風の湯にもお邪魔して、一風呂浴びるなど出来ます。
入浴料はちょっと高めで、今は1000円ぐらいです。
実は順番を逆に載せていますが、
この時は富士山にある古道をいろいろ調べに来ていました。
富士山は北と南でまったく様相の違う山で、
海からの風の吹く静岡側と、寒さの厳しい山梨側では、
同じ山とは思えない姿をしています。
溶岩流の新旧も含めて、古土の出来上がっている古い森があって
中腹に巨樹たちがいたりするのです。
そして偶然お会いした地元の方に教えられた場所に行ってみると、
樹齢300年以上だというミズナラの巨樹が。
樹海の中でも見たことがありません。
さまざまなところを探検した後、
降りてくるとずっと探していた木に出会いました。
ひょっとしたら身近にあったのかもしれませんが、
どれがそうだか分からず、富士山でようやく本物に会えました。(笑)
ミズメの木
カバノキ科の落葉高木。
別名、夜糞峰榛(ヨグソミネバリ)、梓の木、
外見が桜の木に似ているためミズメザクラとも呼ばれる。
そう、この木は弾力性と芳香があるため、梓弓に使われた木で、
その香りのために魔除けや湿布薬とされていた木なのです。
梓の木で弓作りてえ・・・と、ずっと探していたんですね。
クンカクンカ嗅いでみたんですが、木によって香りの強さに違いがありました。
覚えておこう。
なんで糞なんて字が入っているのかと思ったんですが、
昔の人はサロメチールみたいな香りも異臭としてそんな呼び方したんですかね?
黒曜石のことも、星糞とか言いますね。
この時は富士山の周りを時計と逆回りしたのですが、
友人に樹海を見せてあげたかったのと、
入っていなかった洞窟の入り口をいくつか確認に行きました。
樹海の中にはこのような空洞がたくさんあり、
樹海のケービングガイドをしていた時、
火山洞窟学会の方々と一斉調査とかにも入っていて、
大きなものはほとんど見つかっているのじゃないかなあと思っているんですが、
まだ実はどこかに未発見の洞窟があるかも知れませんね。
ただ溶岩洞窟は石灰岩や鍾乳洞などと違って崩れやすいので、
昔は入れた美しい氷穴も、崩落の危険があるため
現在ほとんど立ち入り禁止となってしまいました。
これが300年以上前に富士山の溶岩に飲み込まれた木の痕跡です。
大きな木の生えているところに溶岩が流れてきて、
そのまま木は燃え尽きてしまい、
木の形のたて穴が残っているのです。
物によっては木の皮の模様がそのまま残っていたり、
底に炭化した数百年以上前の木のカケラが残っています。
すごいですね・・・。
場所によってはかなり大きな樹があったことがわかります。
そしてこの後樹海の奥で、衝撃の光景を目にしました。
住宅地が広がりつつあるのは、
なんとなく気が付いていたのですが、
突然切れた樹海の姿に、かなりの衝撃を受けました。
世界文化遺産となって、観光地化の進む富士山。
3つのプレートが重なるという巨大なエネルギーの持つ場が生み出した、
奇跡のような自然と景観。
何ひとつ止まるものはない生々流転がこの世の定めではありますが、
失ってはいけない心の記憶や出会いというものの中で、
答えを失くしてなんだか足掻いてばかりの今日この頃です。