いよいよ東北の1週間の旅の最後です。
いつも近くを通りながら、
なかなか時間的に寄れなかった大湯環状列石を目指し、
まずは十和田湖に向かいました。
え・・・、海!?
行き着いたのは十和田神社。
十和田湖の岸辺にあり、周囲は完全に鬱蒼として
非常に美しい緑の森の中です。
深い森の中を驚嘆しながらしばらく歩いていくと・・・、
再び鳥居とその奥に社殿らしきものが。
非常に古びて歴史を感じる美しい社殿です。
神仏混淆だったのがよく分かります。
周囲も心惹かれるような岩と緑が続いていて、
ゆっくり探索しながら奥社に向かって登ってみました。
十和田神社の縁起はいくつかあり、
ひとつは807年に坂上田村麻呂が東征の際に荒れる湖を渡ろうとして、
祠を建てて祈願したというものやマタギにまつわるもの。
それとここで外せないのは南祖坊という人物にまつわるお話です。
伝説では、湖の主の八郎太郎を追い出して龍神に姿を変えた南祖坊が、
十和田湖に身を沈め、青龍大権現となったのだとか。
かつて神仏習合の東北最大の山岳修行場であったこの場所は、
熊野や日光東照宮に比するような多くの人々が訪れていましたが、
女人禁制の霊山だったそうです。
この下にオサゴ場(占場)がありますが、階段が崩れたためか塞がれていました。
今はボートで近くまで行けるようです。
オサゴ場というのは占いをする場でもありますが、
南祖坊が青龍権現と同化するために入定したとされる場所です。
ここからもうひとつの湖に突き出た御倉半島に祈願し、
湖中に捧げ物をするのがこの信仰の中心であったとされていて、
この下の湖底から、剣や銅鏡・古銭などが大量に発見されています。
水面の近くは底知れない何かがあるような気がしました。
この場所は青森と秋田の境目にあるのですが、
盛岡藩は熊野系の修行をしない修験者を寄せ付けなかったのだそうで、
出羽系の山伏や、弘前藩や秋田藩からの参拝者を近づけさせなかったとか。(汗)
ぐるっと探索して降ってくると、広い浜辺に出ました。
有名な高村光太郎の「乙女の像」ですね。
とても湖とは思えない、海にしか見えない広さです・・・。
北に八甲田山、北東に奥入瀬渓流という名勝に囲まれたこの場所は、
なんと実は巨大な火口湖(カルデラ湖)です。
深さは326mもあるそうで、ものすごい規模の噴火があったことが伺えます。
「八甲田山はこの十和田湖の噴火の外輪山だったのでは・・・」
とこの後向かった場所の職員さんから聞いて、
どんだけすごい噴火だったんだ・・・と青ざめてしまいました。
確かに地図で見ると、そうであってもおかしくない。
この静かで美しい深い森の広がる東北の中心に、
凄まじいエネルギーが潜んでいること、
そしてそれを古来から人々が知っていたことに驚かされます・・・。
次に来るときには、キャンプをしてドキドキしながら
この湖に入ってみたい・・。
引き摺り込まれそうな怖さを感じるけれども。
そしていよいよ最後に向かうはストーンサークルです。
クロマンタ山(黒又山)だ!!!
本当にすぐにわかるピラミッド型しているなあ〜〜
とうちゃこ!
なんて広い・・・。
そう、この日は夏至の日。
なんとか日が暮れる前に間に合いました。
直径45mもの配石の何箇所かに掘立柱建物があり、
この環状列石中心部から、日時計中心部を見た方向が夏至の日に太陽が沈む方向に
なっているそうなのです。
それが本当なのかぜひ確かめてみたかった。
この木の柱でできたサークルも、確かに夏至の日没の方向を示していました。
祭祀遺跡の可能性が高いと言われています。
誰もいない場所で、鳥たちだけが夏至の日没を迎えようとしています。
不思議なことにこの場所は今まで行った何処よりも
ものすごく気持ちの良い場所で、
何時間でもいられる、あるいはここに住みたいとさえ思わせるような
非常に気のいい場所でした・・・。
もっと他に表現がないかと思うのですが、
本当に素晴らしく気の良い場所なのです。
この環状列石遺構は、葬送儀礼に使われた場所だと言われていて、
これだけ気持ちの良い特別な場所に、夏至の夕暮れを迎えて佇んでいると、
沈む太陽と共に死後の世界へと旅立つのを見送り、
また登る朝日とともに戻ってくるようにとの、
古代の人々の祈りがあったような気がしてなりません。
いくつか点在する環状列石遺構。
時計石の中心にある立石は、8kmも先にある川からわざわざ運ばれてきたそうで、
たくさんの人たちの力を合わせた大切な場所だったのがわかります。
一体どんな儀式が行われていたのでしょうか・・?
そしてここから北東に黒又山も見えるのです。
とても美しい色と形です。
これが数千年残っていたとは・・・。
着いたのが夕方近くになってしまい、資料館が見れなかったのですが、
外にいらした職員の方にいろいろお話を伺えて、非常に参考になりました。
次は是非展示や説明を聞きに行きたいです。
旅の最後を静かに登ってくる月に見送られて、
この1週間に見てきた東北という地の自然の豊かさと、
歴史という時間の流れの中に生きた人々の心の風景を思いました。
最後とか言って、もうひとつオマケがありました!!!
もうひとつオマケ。