久しぶりの雲取山。
見事な紅葉が、今奥多摩では盛りです。
またも最高のお天気に恵まれました!
3時間20分ほどかかって、
ようやく奥多摩の秘湯、三条の湯に到着です。
ここはもともと「鹿の湯」と呼ばれていて、
傷を負った鹿がここから湧く水で体を癒していたことから、
見つけられた場所なのだそうです。
いつもこの時期は冷たく冷えてかなり寒いのですが、
今年は信じられないくらい暖かい。
日本中紅葉もかなり例年より遅くなっています。
今回のお部屋は薪ストーブやテラスにハンモックがあり、
オーナーの獲った鹿肉の燻製とビール片手にゆらゆら景色を眺めて、
最高の時間が過ごせました。
そして受付で素晴らしいプリントを発見しました。
ここ雲取山はほとんどが携帯の電波の圏外となる地域です。
警察に電話がかけられれば、携帯の位置情報を向こうから確認できますが、
動けず誰かにその場所を警察に知らせてほしい場合、
圏外でもグーグルマップの現在位置を長押しすれば、
緯度経度の位置情報が出るという機能があることを、
私も今まで知りませんでした。
やって見たらなるほど!
自分のいる青い丸を長押しすると、緯度経度の表示が出ました。
これはぜひ皆さんに知っておいて頂きたいと思います。
表を見ると、山梨県上野原の山岳救助隊が作成した「雲取山・七ツ石山MAP」でした。
内容を抜粋すると、
・雲取山は富士山・北岳と同じレベル。
・登山経験が必要、地図読み能力があることが望ましい。
・鴨沢から登る場合は、七ツ石小屋の下の分岐が命の分岐点!!!!
ここまでで体力に余裕がなければ、七ツ石小屋で休んで今回は戻りましょう。
勇気ある撤退を!!
・雲取山山梨県側は、登山道でも携帯電話はほとんど通じません!!
紙の地図を持つか、事前に地図のダウンロードを!!
・1泊2日の計画を!
・日帰り山行でも、ヘッドライトの携行を。
いかに事故が多いかわかりますね。
ちなみにここに書かれている時間も、かなり健脚の男性のタイムだと思います。
今回は三条の湯まで3時間20分、
翌日雲取山の山頂を経由してお祭り下山で、9時間10分かかっています。
人数が多かったり、何かしらのアクシデントがあればもっとかかります。
しかも日没が早く、三条の湯の上のルートは道がしばらく悪く、
枯れ葉でほとんど見えないので、下山に使うのはお勧めしません。
外国の方が3名下山に降りてこられたので、
一応注意したのですが、慣れていない様子だったので、無事に着いたか心配です。
実は雲取山は、まったく初心者向けの山ではありません。
とにかくルートが長く、道迷いや遭難が多い場所なのです。
特に今の時期は日没も16時半ごろで、
落ち葉でルートがよく見えず、非常に滑りやすいのです。
翌日の雲取山山頂からの眺め。
午後から雨の予報でしたが、
幸いなことに下山までまったく降られず、
ただ風がどんどん強くなりました。
昔は無人の避難小屋でしたが、
今は若い方が小屋番に入られて、オリジナルの可愛いバッジや
暖かいコーヒーなどもいただく事ができます。
お手洗いはもちろん有料です。
ゆっくりしたかったなあ
今回山で出会う人は少なめだったのですが、
トレランの方はさておき、装備大丈夫?
この時間に今から上に行くの?
と非常に気になってしまう人にたくさん出会いました。
昔は雲取山山頂の少し下に、奥多摩小屋があったので非常に良かったのですが
すでに取り壊されて跡形もありません。
山頂の避難小屋はしっかりしていますが、装備がなければ泊まるのは厳しいですし、
雲取山荘は頂上から20分ほど下ります。
今回下りに鴨沢ルートを下っていたら、
前日にどうやら若い方が滑落して亡くなって、
警察の方が遺品捜索に来られていたのに遭遇しました。
最近はYouTubeなどで短時間にまとめられた動画を見て
山に入られる方が多いと思いますが、
そうした若い方の遭難がますます増えるのではと危惧しています。
富士山などでは毎度のことですが、
小屋の外で震える低体温症の若い方を夜中に発見したり、
ニュースになっていないですが山頂の凍死者も多いのです。
数十年前に雲取山にひとりで下見で来た時に、
地図から見て日帰りできると計算して走って登って降りたのですが、
他の山より地図から読んだ以上の難易度が高い、と思ったのが第一印象でした。
とにかく長い山なので、充分な装備と予定を組まれること、
必要ならガイドを頼むことをお勧めします。
奥多摩は東京都の気軽の登れる山が多いところですが、
遭難事故が非常に多く、同じところで何人もなくなっていたり、
遭難のパターンのはっきりしている場所です。
どのように遭難してしまうのか、どんなケースがあって
自分はそれに当てはまるやり方をしていないかなど、
一般の人が簡単にアクセスできる各山岳地域の遭難事故情報の警察署発表の
掲示板などがあると良いんじゃないかなと思っています。
個人的に一読をお勧めしたいのはこの本です。
奥多摩の駅前の交番で山岳救助隊をしていらした金さんが書かれていて、
非常に参考になります。
今回のお土産は、三条の湯のオーナーの鹿肉の燻製と、
丹波山のオリジナル地ビールです。
道の駅たばやまの丹波山温泉のめこい湯で、
ゆっくりじっくり登山の後のひとっぷろと、美味しいご飯で寛いでくださいね。
こちらの記事も、ぜひご一読くださいませ。