YS-11というプロペラ機をご存知でしょうか?
(本当は双発ターボプロップエンジン式飛行機)
30年ぐらい前、初めて仕事の関係で石垣島と西表島に行った時、
今は無き沖縄南西航空(現JTA)で乗ったのがこの一見小さなプロペラ機でした。
一瞬、プロペラ機!?
大丈夫かな・・・なんて思ったのですが、
隣の席の男の人が
「プロペラ機はベテランの操縦士が運転するから、
普通の旅客機より安心らしいよ。」
なんて言ってくれたのもあり、
プロペラの振動音も心地よく、その安定した飛行と、
窓からのキラキラ光る海の眺めにワクワクしていました。
とてもよく晴れた日で、
その時窓から下の海上に不思議なものがあるのが目に入りました。
まん丸い虹の中心に、
明らかに自分の乗っているこの飛行機の機体が写り込んで
ずっと一緒についてくるのです。
その美しさと不思議さに、言葉も忘れて見惚れていました。
あれから山でいくつもブロッケンを見ているのですが、
あれほど鮮明で完璧な円のものは、今だにお目にかかっていません。
これが初めて私が見たブロッケン現象だったのですが、
それからも八丈島や屋久島など離島に行くときによく乗っていて、
すっかりこのYS-11機のファンになっていたので、
全機引退の話を聞いたときは、非常に残念でした。
スタジオジブリの「風立ちぬ」で有名になった
零戦(0型戦闘機)の設計者、堀越二郎。
先日の夜「映像の世紀」を見ていて初めて、
あのYS-11の設計者のひとりが堀越二郎だったこと、
戦後飛行機の設計や製造のすべてが、米国によって禁止されていた日本の
最初で最後の国産の旅客機だったことを知りました。
零戦の設計者の作った、戦争のためではない、
本来作りたかった飛行機そのものに、
乗っていたのだということを知って、
あの時見た光景をまた鮮明に思い出しました。
海の上で一緒に飛行していたあの完璧な虹の円は、
たくさんの偶然と人の思いのくれた贈り物だったんだなぁ
様々な時代を経た、
多くの平和を願った人たちに作ってもらった全ての上に暮らして来たことを、
当たり前に思って来たことに改めて気がつきました。
この世の全てを知れるわけではなく、
知らないことばかりなんですが、
歴史や真実、事実を知らずに過ごしてしまうことは、
たくさんのことを自分の手から取りこぼしてしまうような事なんですね。
182機製造されたYS-11機は、民間航空機として以外にも
運輸省、海上保安庁、自衛隊に配備され、
2021年現在も自衛隊にて電子情報収集機、同訓練機として
秘匿性の高い任務についていたそうです。
初飛行から60年目、YS-11が今だに現役だったのを知って、
驚きとともに改めて優れた航空機だったのだということを思いました。
現在ではもはやパーツが作れず手に入らないそうなので、
見ることも叶わなくなりそうですが、
なぜか不思議なことに、飛行機の記憶といえばあの振動音や、
乗った時のことが、割と鮮明に思い出されてくるのです。
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