昨日、真田広之さんの【SHOGUN】が、
過去最高の数のエミー賞を受賞するという快挙があり、
若い頃の「龍の忍者」を映画館で見て当時真田さんファンだった私は、
その後の数十年様々な変転を経て、どれだけ積み上げられた努力だったのかを思うと、
本当にすごいなと感慨深く思いました。
(SGOGUNは見ていないのですが、ゲームオブスローンズは見ていて、
あれを超えたというのは日本という異文化という点を差し引いても、
すごいことだと思います。)
日本の美と文化を正しく伝えたいという執念。
すでに時代劇は国内ではほとんど流行らず、
カツラを作る職人さえいないという状況で、
当たり前に日本で暮らしてきた私たちが、ディズニーやハリウッドで作られた
日本を舞台にした作品というものを見て、外から見られる日本の価値というものを
再認識できる映画でもあるのだろうと思います。
日本の文化ということで、
このところYoutubeのおすすめに出ていて非常に良かったのが
【昭和元禄落語心中】です。
昔ドラマで主人公の八雲を岡田将生さんがやってるのをチラリと
見た記憶があったのですが、
今回この作品を見て非常に惹かれるものがありました。
子供時代浅草育ちで、
父親は『ひ』と『し』の区別のつかない3代目、
(例えば、お日さま→おしさま、コーヒー→コーシー)
笑点をやってる浅草六区なども歩いて5分ぐらいのところに住んでいて、
黒塗りの板塀の落語家さんの家など、塾の行き帰りに通っていたりしたんですが、
すでに子供の自分にとっても落語は「古臭いもの」という感じで、
率先してあまり興味は持って来ませんでしたが、
ラジオで流れて来ていたり、思わず聞き耳を立ててしまうような
落語家さんたちの噺っぷりは、
知らず知らずに馴染みの深いものがありました。
そして今回、この作品で落語を通した人生の奥深さのドラマに、
改めて引き込まれて見てしまいました。
落語はやはり、芸術なんですね・・・。
とにかく声優さんたちの本当に落語家か!?
と思うような語りがすごい。
ダイジェスト版。
それぞれの表現で噺が全然違って聞こえたり、
それぞれの師匠や弟子同士での愛憎など、
明るく洒脱な落語のイメージとはまったく違う一面が、
当たり前ですがあったのだと気付かされました。
私、時代劇ドラマに出ていた桂枝雀さんが好きだったんですが、
自殺された時、本当にショックでした。
この作品は噺家さんの芸と人生というものに、
改めて目を向けるきっかけになりました。
どんどんと新しいエンタメが現れて、
時代遅れのようになっていってしまう「落語」という文化。
かつての風俗風習やキセルなどの生活道具さえ、
見たことも聞いたこともない世代に移り変わっていく中で、
いかにこの芸術を残すかということは、
ひょっとしたら消えてしまう可能性もあるいくつもの日本文化を継承し続けて
いくということのたくさんの荒波を、
今回いろいろと考えさせられることとなりました。
今夜は十五夜、中秋の名月です。
皆さんのところから、虫の音とともにまあるいお月様は見えるでしょうか?