おきらくごくらく。

山と自然と不思議。日常のあれこれの雑記ブログ。

シリエトク、羅臼岳ヒグマ人身事故。

8月14日、衝撃のニュースが飛び込んできました。

知床の羅臼岳で登山者がヒグマに襲われ行方不明になったという事件が発生。

2019年8月22日撮影の母グマ。

2019年8月22日撮影の母グマ。



「まさか、知床で・・・」と思うと同時に、

「ついに起こってしまった」

という大きな衝撃を受けました。

 

今まで知床でヒグマが人間を襲うという事故は起きていませんでした。

知床のヒグマは他の地域のヒグマより穏やかに感じる、

人を恐れていないし、必要以上に人に興味を示さない、

というのが、羅臼岳に毎夏のようにお客さんを連れて登山していた私の感覚です。

 

でもだからと言って決して「安全」というわけではない、

必ずクマスプレーは持参する、

突然走って逃げる、大声をあげる、石を投げる、背中を見せるなどの、クマを興奮させるような

不用意な行動は取らない、

穏やかに見えても急変するヒグマの攻撃を侮ってはいけない、

などの注意点を、徹底してお話しして聞かせていました。

 

人間の対応のミスが、人とヒグマの両方の命を失わせる事になるからです。

 

 

まずニュースで入ってきたのは、

事故現場がオホーツク展望台の少し上で、登山者がヒグマに襲われ、

登山道脇にひきずり込まれたこと、

同行者は200m後ろで叫び声を聞いて駆けつけたが、

助けることが出来ず、その場で通報を行ったこと。

 

オホーツク展望台というのは、一般的に想像するような展望台ではなく、

急斜面の尾根道のカーブのところに、ほんの少しの開けた場所があって、

登山口から1時間ほどの休憩スポットになっているところで、

この前後も細い尾根道になっているのです。

560m付近に岩峰があり、この二つの場所の間で襲われたのだと思いました。

 

登山口には木下小屋があり、ここでもクマスプレーのレンタルができましたが、

3本ぐらいしか置いていなくて、

知床では事故は起きないという認識が私たちの心のどこかにあったのは否めません。

木下小屋のすぐ上でも、

3m近くに見える巨大なヒグマがいたりする

深い森で、どこいてもおかしくはなく、

出会ってしまったら向こうが去ってくれるまで、

何時間でもじっと待つしかない。

 

羅臼岳登山口

羅臼岳登山口

 

知床半島は基本的にヒグマの楽園です。

全体がヒグマの広大な生息地で、

半島の付け根のウトロというオホーツクの漁港の街から先は、

この羅臼岳登山口の入り口の岩尾別温泉、

その名も「地の涯」というホテルとその後ろの木下小屋以外は、

夏期でも人の住んでいる場所は一切ありません。

まさしくヒグマの国に私たち人間がお邪魔しているという状況です。

 

知床の人々はヒグマとの共存に非常に心を砕いてきており、

今までも事故を起こさないために、

「地の涯」のゴミを漁ってしまったヒグマを

仕方なく駆除するという事もありました。

人間と人間の持つ食べ物に興味を持ち、

まとわり付けばいずれ

獣害事件に発展してしまう可能性が非常に高いためです。

 

知床を訪れた人なら知っている方も多いと思いますが、

車窓から投げたソーセージ1本のために、駆除されたヒグマがいました。

人間に居ついたためです。

 

 

翌日15日午後、襲われた青年が発見されました。

その後母子熊3頭が射殺され、

なぜ子熊まで殺したのかという非難が殺到したそうですが、

クマの生態というものを学んで欲しい。

一度人間を襲ったクマは、必ず獲らなければなりません。

食害していようがいなかろうがです。

人間を脆い生き物と認識し、獲物になり得ると判断したクマが、

次に飢えた時に最も取りやすい獲物として人間を獲物と判断するのは

容易に想像がつきます。

食害目的でなかろうが襲っているうちに血の匂いを嗅げば、

肉食獣がどうなるかは火を見るより明らかで、

そばにいた子供たちも、

人間を弱く襲いやすい動物と認識してしまっています。

そして母グマを失った子グマは、

野生で生きていくことは非常に困難です。

 

 

私はクマは猿などより遥かに人間に近く、賢い生き物だと思っています。

知床の人々だってヒグマを意味なく殺したりなどしたくない、

だから人間の対応が間違ってしまうと、誰も望まない悲惨な結果を招くことになるのです。

 

 

 

news.yahoo.co.jp

 

最近判明したところでは、

襲われた人はクマ鈴をつけて走って下山しており、

後から駆けつけた同行者がクマスプレーを

使用したが全く効かなかった。

 

そして事故地点はシロアリの巣があって、

それを食べに来るヒグマがおり、

以前からヒヤリハット地点と言われていた。

 

今はトレランが流行っていますが、

以前は北海道の山岳でトレイルランナーを見たことはありませんでした。

本州の山では私も下山時は走ったりする方ですが、

クマがいそうな場所では走ったら襲われるとの認識が必要です。

奥多摩でも同様の事故が起きています。

 

特に子供を持っていたら、

そして迫り来る鈴の音を聞いたりなどしたら、

そしてそれが逃げ場のない細い尾根道であったら、

脅威だと感じて攻撃してくるでしょう。

使ったことのないクマスプレーは、実際咄嗟に正確に使えるかも難しいと思います。

それでも絶対に必要です。

一般人にとっては銃より遥かにクマスプレーの方が生き残れる可能性があるし、(クマの心臓を撃ち抜いて即死させるのは猟師でも非常に難しい、手負いにしてしまえば逆襲してくる可能性が高い。)

クマスプレーで逃げてくれるなら、

お互いの命を無くすことがないからです。

 

 

北海道の山で何回かヒグマと遭っていますが、

トムラウシでも頂上直下のトムラウシ公園と呼ばれる場所などでは

強い匂いと足跡があり、

たぶんすぐ近くにいるけど、向こうから離れてくれているな・・・、

と緊張することなど結構ありました。

 

一番近くで出会ったのは、

やはりこの羅臼岳山頂直下の羅臼平で、

30〜50mの至近距離でした。

クマが走ったら一瞬で縮まる距離です。

1歳半ぐらいに見える亜成獣で、

お互い様子を伺い、

向こうは岩に登ってこちらを見、

クンクンと空気の匂いを確かめていて、

はたと目があったりしました。

檻や隠れたり隔てるものの一切ない対等な平地の至近距離で、

この日本最強の動物とお互いを認識するという出来事は、私にとって本当に得難い一瞬でした。

 

 

大丈夫そうか・・と思っていると、

ヒグマの穏やかさを良いことに、

接近して写真を撮ろうとする男性がいました。非常に危険な行為です。

ヒグマを興奮させてしまう可能性があるため、その時大声を出したり

注意することが出来ませんでしたが、

このような行為と認識が、今回の事故につながっていると思っています。

本人が事故に遭わなくても、

いずれ他の誰かが襲われてしまう種を蒔いているのです。

 

 

 

知床自然センターの入り口付近に現れた母子熊

 

知床自然センターの入り口付近に現れた母子熊。

 

知床自然センターの入り口付近に現れた母子熊



穏やかな様子にバスから降りて撮影する人も。

これは非常に危険な行為です。

動物の豹変する危険性を、みんな認識して欲しい。

そして貴方がこの時たまたま無事でも、

それがいずれは誰かを危険に晒すのです。

 

 

知床自然センターの入り口付近に現れた母子熊



 

www.news-postseven.com

 

 

現在知床五湖の一湖の近くには、

高架木道などが設けられており、ガイドもついて安全なウォーキングを

することが出来ますが、

それより奥の羅臼岳などの山岳地帯に入る登山者には、

知床自然センターなどでの徹底したヒグマの知識のレクチャーを

義務付けるべき時に来ていると思います。

今回の事故は、本当に残念でなりません。

 

 

youtu.be

 

 

 

これは4年ほど前の動画です。

これが厳密に守られていれば、具体的に徹底されていれば、

入山者と観光客のすべてにヒグマに対しての教育と知識が行き届いていれば・・・

と思わざるを得ません。

 

 

youtu.be

 

 

 

 

これは2年前に書いた記事ですが、

クマ鈴が目印になるのではという危惧が、

今回は本当になってしまいました・・・。

 

www.nekosippona.com

 

 

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