ついにアニメ【懐玉・玉折】編が終了しましたね。
待ちに待った呪術廻戦のシーズン2。
私原作ほぼ読んでなかったんですけど、
以前温泉施設で置いてあるのを見つけてパラパラ〜っと見たとき、
このお話の7〜9巻がどうしても読みたくなって、
ここだけ買ってたんですよね。
先日放映された【呪術廻戦0】も、
ようやくTVで見ました。
作者の芥見下々さんて、ものすごく頭の良い方なんですね。
あらゆる設定もそうですけど、
細かい伏線がすべて回収されていく。
アニメから見ていた人間には、
謎の呪詛師夏油傑が、
【0】で主人公の乙骨裕太に敗北し、
さいごに最強の呪術師五条悟に殺されてしまい、
その後この【懐玉・玉折】編で、
五条と夏油の2人が、お互いをたったひとりの親友だと思っていたという展開が、
切なすぎました・・
五条悟が最強になるきっかけが、
禪院甚爾に一度殺されて、
死の淵で今まで到達出来なかった境地に進化したというのもすごかった。
アニメでの「天上天下唯我独尊」(釈迦か!)のシーンも、
凄まじい闘いの只中で、まるでこの世の理を超え、
神になったかのような超越した描かれ方で素晴らしく美しかったですね。
かなりチャランポランに見える、
名家に生まれた特級呪術師五条と、
非呪術師の家に生まれながら、
呪霊を取り込むというおぞましくも強大な術式を身につけ、
世界にこの時はたぶん3人しかいなかった特級呪術師に一代でなった真面目すぎる夏油。
最初のこの2人は正反対で、
「非呪術師を守るために呪術がある」
という夏油に対し、
「力に理由とか責任を乗っけるのは、それこそ弱者のやること」
「ポジショントークで気持ちよくなってんじゃねーよ」と煽りまくる五条。
(割とムカつくガキですね・・💢)
お互いを代わるもののいない最強と認め合い、
2人が揃えば怖いものなしと、
本人たちも周囲も思っていたのでしょう。
それが禪院甚爾という呪力ゼロの男に覆され、
完膚なきまでに敗北し、
守るべき天内も殺され任務は失敗、
あげく同等だった親友は
たったひとりの真の最強になった。
呪霊操術という終わりのない呪霊を取り込むという苦痛の果ての目的を見失って、
自分の中の本当の感情に気付いたとき、
立て続けに起こった出来事によって、
夏油は【実現不可能な目的】に向かって踏み出します。
それは「非術師を世界から一掃する」という、
人間の持つ利己的なおぞましさに対する復讐でした。
呪力をコントロール出来る術師から呪霊は生まれない。
その呪霊を生み出す呪力を垂れ流す非術師の一般人を、自分たちの命を削って助けても、
無理解・自己中心的なエゴにより、
彼らのために仲間が死んでいく終わりのないゲームの先に、何があるのか?
その価値がいったい何処にあるのか?
度重なる不幸な出来事とトラウマにより、
夏油はどんどんと追い詰められてゆき、
ついに一線を超え、親友とも敵対する道を選択します。
最初は一般人を軽視する発言をしていた五条と、
「呪術は非術師を守るためにある」
と言っていた夏油は、
まったく逆の道を辿ることになる皮肉。
五条は初めて得た親友の夏油を、
行動の指針にしており、
彼の判断を信じて疑わなかった。
その夏油が闇堕ちしたショックは、
天地がひっくり返るほどだったでしょう。
あれほど感情的な五条は、後にも先にも見ることは出来ないだろうと思います。
そして信頼し切っていた夏油がそれほど苦しんでいたことに気付きもしなかったこと、
絶対にあるはずのなかった闇落ちを彼が選択したこと、
すでに自分の手の届かないところに行ってしまった事で、
「殺したければ殺せ。それには意味がある」
と言う呪詛師となった夏油を手にかけることが出来ません。
天内理子が殺されたとき、
五条は「傑。ここにいる全員殺すか?たぶん今の自分なら何も感じない」
と夏油の判断を仰ぐような発言をします。
それを止める夏油の瞳が揺れている描写がすごい。
止めなければ、五条は後先考えずに手を下したでしょう。
五条と同じ感情を持ちながら、
その行為には「意味がない」と止めた夏油が呪詛師に転落し、
「意味はある。大義もね」
と吹っ切れた表情になったのが、なんともやり切れない気持ちになります。
なんであの沖縄での最高の青春からこうなってしまうのか・・・
【大義】と共に生きようとする夏油、
生まれた時から最強の呪術師として運命付けられ、
この世界で自らの力を開花させて行く五条。
お互いに代わりのいない親友だったのに、
天真爛漫で本当の最強になった五条から置いて行かれたと感じ、
自分の存在意義を失い、
真面目な七海や夏油にとっては呪術師としての自分の存在意義の根底が揺らいだとき、
彼らは「別の」自分の道を模索します。
自らの恵まれた才能と、怖いもの知らずの性格で
出来ない事はないと考えていた五条はこの時初めて、
夏油の気持ちを考えたのではないでしょうか?
そしてなぜそうなってしまったのかをも。
「自分一人だけが強くても、ダメらしい」
「もう誰も一人にしない(置いて行かない)」
そして小学生の伏黒恵に会い、
何のことだか全くわからないであろう彼に、
「強くなってよ、僕に置いて行かれないぐらい」
と去り際に語りかけます。
様々な被害の大きさを見ると、
五条は見立てや詰めが甘い事この上ない人に思えますが、
性格や育ちの良さがよく出ていて、
周りの力を信頼している人間なんだなと思います。
そして最後のシーンで、今までのことがまるでうたた寝の中での一瞬の夢を見ていたかのように、
伏黒・釘崎・虎杖のにぎやかな1年生3人組に起こされて、片目だけで見上げる五条先生。
「目元がうっすら赤くなっていて、
ひょっとして泣いていたんじゃないか」
という指摘をされている人がいて、びっくりして動画を止めて見返して見ました。
確かに・・・、
そんな風に見えます。
そして背中を向けたまま立ち上がり、
「何笑ってんですか?」
という恵に、
「別に♪」
と頭を上げて言う後姿は、
まさに涙を見せないようにしているとも見えて、
ひょっとしたらこれは五条悟の最初で最後の
泣いているシーンなのではないかと思いました。
MAPPAさん、深い・・・・
失ってしまった大きなものと、
それに気付いて築き上げてきた多くのもの。
お互いを呪いあい、
殺しあうことになった2人がそれぞれ、
「親友だったんだ。ケンカしちゃってそれっきり」
「親友だよ、たった1人のね」
と思い続けてきたのが切なすぎる【懐玉・玉折】編でした。
凄すぎです・・・・
もしも呪霊がこれぐらい美味しかったら、
夏油のストレスもなく、
闇落ちもしなかったんでは・・・、
などと思う旨さでした。また買います。