おきらくごくらく。

山と自然と不思議。日常のあれこれの雑記ブログ。

HOKUSAIという男。

パステルで描いてみました。

 

先月からパステルを使って絵を描き始めたのもあって、

映画「HOKUSAI」を見て来ました。

 

 

映画 HOKUSAI

映画 HOKUSAI

葛飾北斎という人物を、設楽優弥さんと田中泯さんという

インパクトの強い役者さん二人で、その作品と人生を絡めて描いていて、

まるで一枚の絵のように美しいカットや、

絵に込められた情念がどのように生まれたのかを映像化していて

なかなか良かったです。

 

あとこの当時、幕府の庶民の娯楽への弾圧が

今からは想像も出来ないほど酷いもので、

今だって本当はそうなんですが

文字通り、表現するのも生きるのも、命懸けだったんだというインパクトがありました。

 

蔦屋重三郎という阿部寛さんが演じている版元の人物が興味深くて、

ひょっとして・・・、と調べて見たら血縁ではないのですが、

TSUTAYAはやはりこの方から名前を取っているのだそうです。

江戸時代の名プロデューサーだったそうですね。

 

あと永山瑛太さん演じる武士の柳亭種彦の死の様子から生まれる

生首の絵のシーンの凄まじさ、

青の絵の具を持って雨の中、田中泯さんが舞踏の舞で表現するシーンなど、

印象深かったです。

 

ラストに二人の北斎が描き上げる波の絵。

生涯を通して描き続けた激しい波。

 

 

で、見終わった後、

「北斎のこと実は何も知らないなあ」

と思って、さっそくすみだ北斎美術館に行ってみました。

 

ちなみに私の北斎の知識は、昔持っていた

杉浦日向子さんの「百日紅(さるすべり)」という漫画の中の

北斎はお栄という三女と二人暮らし。

「アゴ」「テツゾー(鉄蔵)」と呼び合っていた。

弟子に英泉という絵師がいた。

長屋は汚い。

半端ない画力を持っていた。

 

ということぐらいでした。

とても良い作品だったので、もし手に取れることがあったらぜひ読んでみてください。

 

 

 

 

 

 

 

すみだ北斎美術館 常設展示

すみだ北斎美術館 常設展示

 

入り口の展示

 

入り口に北斎の生活や知人、

描かれた作品の場所などを地図で示してくれる装置があって

非常に興味深かったです。

90年の人生で93回引っ越したとからしいんですが、

この美術館のすぐ近くにあった吉良邸の場所で生まれ、

両国橋周辺に転居しながら住んでいたことが多かったみたいですね。

ちなみに赤穂浪士討ち入りの時に斬られた家老が、

先祖に当たるのだとか。

 



富嶽三十六景 神奈川沖浪裏

富嶽三十六景 神奈川沖浪裏

 

世界でも有名なこの絵。

こんなに小さかったのかああああ

 

ちなみにこの常設展の作品は、すべてレプリカだと聞きました。

 

 

富嶽三十六景 甲州石班沢(かじか沢)

富嶽三十六景 甲州石班沢(かじか沢)

この絵がすごくいいなと思ってしばらく見惚れていたんですが、

後から調べたら、これが当時日本になかった青色の顔料で、

ベロ藍(プルシアンブルー・’ベルリンの藍’)と呼ばれており、映画で田中泯さんが喜び踊っていたのが

この色を手に入れたシーンだったんですね。

北斎ブルーとも呼ばれているそうで、とてもいい藍色です。

そしてこの絵の構図とバランスの美しさ。

 

浮世絵の彫りと刷りの技術の高さにも本当に驚くんですが、

北斎は十代の頃、最初にこの仕事をしていたことがあったそうです。



諸国瀧廻り 下野黒髪山きりふりの滝

諸国瀧廻り 下野黒髪山きりふりの滝

 

滝の絵が2枚あって、どちらもハッとさせられました。

美しい、そして勢いよく動いています。

滝をたくさん描いていたのに驚きました。

水を捉えようと食い入るように描いてる姿が目に浮かびます。

水の姿を描くのは、すごく難しい。

動いていたら、なおさらです。

 

とにかく北斎はありとあらゆるものをなんでも描いていた人だったんですね、

「画狂老人」とはまさしくで、

この展示の中に北斎の画で遊んだり描いてみたりできる装置があるんですが、

踊りの分解図から銃や鐘の設計図?、

変顔やもう描いてないものは無いと言っていいくらい。

 

描いて描いて描いて、もっと描きたい人だったんだと。

 

こんな細かい作品の数々から、

屋台や寺の見事な天井絵、そして120畳大の大絵を描くパフォーマンスなど、

これだけの活躍をしたアーティストは現代でもなかなかいないですよね・・・。


ちなみに北斎の最初の奥さんの子供の子供、

北斎の孫にあたる男性がなかなかトンデモない人だったらしく、

北斎はこの孫の借金やら何やらでいろいろ苦しめられたそうです。

名前を頻繁に変えたり、住所や旅に出たりはそのせいもあるとか無いとか。

6人の子供の中で絵師になったのはお栄ただひとり。

 

酒もタバコも茶もやらない、食べるものは夜仕事が終わった後の蕎麦2杯だけという、

絵を描くこと以外に一切興味のない北斎が、

2度の中風の発作で腕が利かなくなった後も回復して、

自作の甘い柚子茶で治した、という手紙もあって興味深かったです。

 

それと映画のエピソードが本当かは分かりませんが、

柳亭種彦の死と、生首の絵が描かれたのは、確かに同じ年のようです。

 

北斎と娘のお栄

北斎と娘のお栄

割と暗めの展示室の中でこの部屋があって、

「リ、リアル・・・(汗)」

とか思ってしばらく見てたら動いたので超ビビリました〜〜

素晴らしい展示(笑)

 

 

 

そして企画展で「しりあがりサン北斎サン クスッと笑えるSHOW TIME ! 」

をやっていて、とても面白かったです!

 

しりあがりサン北斎サン クスッと笑えるSHOW TIME !



しりあがりサン北斎サン クスッと笑えるSHOW TIME !



展示作品は北斎の作品を使ったパロディで、

思わず声を出して笑ったりしちゃったんですが、

滝の雪景色の作品なんか北斎本人のものだとしばらく思ってたりしました。

デジタルで北斎漫画から取り出した人物や、

現代の人物や乗り物などを組み込んでいて、

北斎自身が見たら大笑いしただろうなあ、なんて思っちゃいました。

 

しりあがりサン北斎サン クスッと笑えるSHOW TIME !

 

そしてこのレインウエア、すごくないですか?

普通に欲しい。



しりあがりサン北斎サン クスッと笑えるSHOW TIME !

 

かっこよすぎる・・・。



しりあがりサン北斎サン クスッと笑えるSHOW TIME !


これなんと例の変顔を、

スパンコールで撫でると顔が変わるというすごいTシャツ。

 

しりあがりサン北斎サン クスッと笑えるSHOW TIME !



しりあがりサン北斎サン クスッと笑えるSHOW TIME !


これも欲しいいいいい

 

しりあがりサン北斎サン クスッと笑えるSHOW TIME !


あっこれは、北斎ブルーのかじか沢。

このデザインセンス、圧巻です。

 

この隣には、北斎の絵に好きな吹き出しで好きなことを書いて

貼り付けるコーナーがあって、それも思わず吹き出しながら見てました〜〜

みんな面白いなあ

 

常設展と企画展で千円で見られ、

私の集中力ではちょうど良く両方見ることができました。

正直浮世絵は特に好きじゃなかったんですが、

またこの美術館には行きたくなるような気がします。

 

https://hokusai-museum.jp