おきらくごくらく。

山と自然と不思議。日常のあれこれの雑記ブログ。

こんな世界なくなればいい。【世界の終わりから】

ようやく見に行って来ました。

 

©︎2023 KIRIYA PICTURES

©︎2023 KIRIYA PICTURES

 

紀里谷和明監督の最新にして最後の作品、

【世界の終わりから】

 

 

©︎2023 KIRIYA PICTURES

©︎2023 KIRIYA PICTURES

 

アバターはついに見に行けなかったけど、

この映画は絶対に見たかった。

自分にとっては見なくてはならないと感じる映画だったのだと思います。

 

 

私正直言って【CASSHERN】以来、

初めてちゃんと見た紀里谷監督の映画でした。

最初と最後の作品を見ることになるとは・・・。

 

 

 

徹頭徹尾、メッセージであると受け止められる作品で、

自分が人間の社会というものに対して昔から強く無力感を抱いてしまうのと、

非常に重なる内容であったこと、

 

もう実際ダメだろう

世界に希望を持つには、

不可逆な域まですでに達してしまっていて、

なぜこうなってしまうのだろう?

 

善意も悪意も人の中にあって、

地球上のすべての生命活動のまさしく「生殺与奪の権」を

人間が握ってしまっているのに、

なぜここまで来てしまったんだろう?と、

 

ロシアの侵攻による世界情勢の危うさや、

新型コロナウイルスその他の発生、

多発する犯罪と環境破壊、

止まることのない自然界からの搾取、

特に今年の日本の政治のあまりの悪政に、

坂を転がる以上のスピードで、

どんどん時間が短くなっているような気がしていました。

 

例えば今すぐ地上から人類が消えたとしたら、

長い時をかけて地球や自然は回復するだろうし、

もしこの星と人類と動物たちが平和に暮らしたとしても、

必ず星と生命の終わりの時は来る。

 

 

人間のどうにもならない破滅への選択、

結局これは最初から決まっていて、

動かすことや選択の余地などなかったのか、

 

そんな自分の終わりのない疑問やグルグル回り続けるとめどない思考が、

まさに映画になって眼前に現れたかのようでした。

 

こんな世界、

なくなればいいのに。

 

実は私はよくそう思うことがあります。

消えてしまえ、と。

 

 

 

紀里谷監督はどう考えているんだろう?

彼はこの永遠の問いに、

どう答えを出したんだろう?

 

 

人間て自分たちの生み出すこんな悲惨さを体験するために、

わざわざこの星に生まれてくるのだろうか?

 

知識と探求の果てに、アインシュタインに並ぶ様々な研究者たちが発見や技術革新の末に、

疑心暗鬼や自分たちの安全や優位性のために取り返しのつかない武器を製造し、

人類どころか多くの生命に多大な被害を与え、

全ての人類の発展が、

生命の存続を脅かす結果になるなんて、

多くの研究や技術革新は、

ほとんどが諸刃の剣であり、

どちらに舵を切るかは、人間自身の心にかかっている。

 

 

劇中のセリフがうろ覚えなので間違っていたら御免なさいなんですが、

紀里谷監督はこれを「人間の感情体の集合」のように捉えていると思いました。

 

そこに影響を与える一部の数少ない人々が存在していて、

そのひとりが主人公のハナ(伊藤蒼)であり、

彼女を導く老女(夏木マリ)であり、

過去に存在した少女ユキ(増田光桜)であって、

「夢と現実の境」

「人が想像や現実と思っていることの境」

は実は非常に曖昧で、

人は自分が何を望んでいるのか本当はわかっていない、

 

そして結果的に望まぬ終末に向かって猛スピードで突っ走っており、

実は時間はそれほど残っていない、

 

 

 

孤独・悲惨・暴力・不理解、そして絶望。

人類が発生してから消えることがなく、ますます力を増しているこれらの感情。

 

 

虐げられ、両親を殺され、

無垢な魂は力を得た時、「復讐」を選ぶ。

それを見ているこちらの身の内に走る

「当然だ、ザマアミロ」

という快感。

復讐を望み、喜ぶ感情。

 

 

酷い脅しといじめにあうハナをトイレで助け、

「自分も昔いじめられていて、黙ったままだった。

 なぜもっと早くやりかえさなかったかと、

 今では思う。」

行動することで現実を変えることが出来る、

と言う政府の護衛官の女性、佐伯玲子。

 

時を超えて存在し、人々に悲惨を与え、

決して死ぬことはない存在で、

本当は死を願っていた無限(北村一輝)。

 

そしてキーとなる人物の夏木マリさんがものすごいインパクトで、

最初はまんま「湯バーバだ!!!」って思いました(笑)

 

政府の秘密機関の人間、

江崎省吾(毎熊克哉)の出てくるシーンだけが

心が安らぐ瞬間でした。

 

 

何が正しくて、

どんな選択が運命を変えることができるのか、

誰も分からない。

 

ほとんどの人々は、世界が終わるなんて、

考えてもいない。

 

自分の選択や行動が、

世界の終わりに繋がっているなんて、

考えさえしない。

 

 

そして彼女たちのDNAを受け継いで、

どのようにしてか未来で存在するただひとりの人類ソラ(冨永愛)が、

どのようにしてかハナのメッセージを受け取り、

迷うことなくする選択。

 

 

最後のシーンで、ハナが私たち観客に、

「あなたはどうしますか?」

と語りかけてきて、

ギュッと心臓を掴まれたような衝撃。

 

そしてその後の彼女の答えは、

監督のメッセージなのだと思います。

 

 

それでも、この世界を愛したい。

 

 

 

 

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