おきらくごくらく。

山と自然と不思議。日常のあれこれの雑記ブログ。

アニメ【進撃の巨人】ファイナルシーズンPart2最終回によせて。

(*アニメ派の方でファイナルシーズン完結編を楽しみにしている方には、

 ネタバレありなのでご注意ください。)

 

今日の空。

 

 

最終回が終わってしばらく経つので今さらな感じなのですが、

放映中に始まってしまった2・24のロシアのウクライナ侵攻から、

とてもブログを更新する気になれなくて

最近ようやく更新し始めたんですが、だいぶ遠ざかってしまいました。

 

物語として心揺さぶられていた【進撃の巨人】が、

あまりに起こった現実とリンクしてしまったかのように思えて、

というより戦争というものがどうやって始まり、どうなって行くのかの姿が

あまりに現実と重なって見えてしまったと言うか。

まさか作者の諌山先生も、ファイナルシーズン2の終わりに

本当に戦争が勃発するとは夢にも思わなかったのではないでしょうか。

 

私は世界中の進撃のファンの人たちと、

来年この作品の本当の最後を、楽しみに見たい。

今となっては来年のこの時期に、世界がどうなっているのか

想像もつきません。

 

 

 

地ならしが発動してしまったことで、

「虐殺だけはダメだ!絶対に!!!」

と叫ぶハンジ。

「それを正当化する理由なんてあるもんか!!!」

 

まさにそれです。

この虐殺を止めるためにどうすればいいのか誰も分からない。

結末を知っているのはエレンだけです。

そこに向けて止まることなく突き進んでいく。

 

調査兵団、そしてエルディア人の良心のようなハンジ。

対してエルヴィンは強いカリスマを持つ優れたリーダーでしたが、

彼は人類の存続のためというよりは、真実を知りたいというただそのひとつの目的のために

突き動かされて来ました。

エレンが唯一本当の目的を打ち明けたフロックも同じで、

大義のために人の死はお構いなしに行動します。

2人の見ていたものはまるで違うと思いますが、

フロックはエルヴィンの見せた地獄に取り憑かれたまま生きてしまいました。

そして3人ともそれぞれの目的達成の直前に命を落とします。 

 

この作品では、たくさんのシーンが世界中の人々の心を捉えて来ました。

 

サシャが黒人のオニャンコポンに、

「なぜ皮膚が黒いのか?」と尋ねるシーン。

!!!!!

現実に心臓を掴まれたような軽い衝撃が走りました。

こんな世界の複雑で長い差別の歴史をいきなりブッ込んで来たアニメが、

未だかつてあったでしょうか・・・。

 

「この世はいろんな奴がいた方が面白い。」

 

オニャンコポンが神かと思いました・・・。

 

 

ファイナルシーズンPart2【人類の夜明け】の最終回は、

本当の最後の最後を前にして、

様々な疑問と主人公エレンの本心が明かされた回でした。

 

エレンは巨人化の力がエルディア人から失われた後、

世界の生き残りの人々から盾(巨人化という抑止力)を失ったユミルの民を守るために、

そしてアルミンを人類の救世主とするために、徹底的に自分を邪悪な存在とし、

仲間たちを遠ざけるという選択をしました。

 

そしてミカサは気づき始めます。

エレンはまったく変わってなどいなかった、

そしてもしもエレンに自分の気持ちを伝えていたら・・・・。

 

のちにミカサは自分がエレンと残りの数年間を山奥の小屋で、

2人だけで静かに暮らすという自分の願望を叶えた未来を見ます。

けれどそこには他の仲間も、エルディア人の未来もありませんでした。

あれはミカサの見た夢なのか、

それともエレンがユミルの力で見せたもうひとつの未来だったのか。

 

 

最後となるファイナルシーズン完結編のたぶん最終回、

アルミンとエレンの会話で、アルミンがエレンに

「ぼくたちのために・・・虐殺してくれてありがとう。」

と感謝を述べるシーンが一体どうなるのかとても気がかりです。

この原作のセリフはちょっと違和感があって、表現するのはとても難しい。

今この現実を見てしまうとなおさらです・・・・。

 

 

 

この作品は、残酷な現実の示唆を多く含んだ素晴らしいものですが、

今現実に起こっている、そしてかつて繰り返されて来た戦争の、

あらゆる面を描いているように思います。

 

恐れから恐怖を作り出し、プロパガンダによって多くの人に

無用な戦争を作り出す。

敵は自分とは違う生き物だとして、残酷なことを平気で行う。

今現実に起こっていることは、アニメの中の残酷なシーンを遥かに超えます。

 

北欧の国々にとっては、

ウクライナの反撃はロシアという長年の圧政脅迫国との対峙の機会であり、

自由と民主主義と独裁者による専制主義の闘いと言ってもいいでしょう。

今までロシアを恐れて刺激しないようにしていたフィンランドスウェーデンも、

今回の残虐行為を見てNATO加盟に踏み切りました。

特に長い国境をロシアと接し、かつての戦いからずっと緊張を強いられてきた

フィンランドは、この機会を逃さないでしょう。

最もそれを必要としていたウクライナが後回しになっているのが厳しいところですが、

大国ロシアとの望まぬ緊張関係を強いられて来た近隣諸国にとっては、

お互いの協力と後ろ盾が不可欠です。

 

 

私は正直言って、この戦争が始まるまで、

ウクライナ北欧諸国のことを、ほとんど何も知らなくて、

お恥ずかしいことにキーウ(キエフ)はずっとロシアだと思っていました。

連日関係者から発信されるTweetや、

これは一体どう言うことなのだろうと言う疑問から、

様々なことを調べ、たくさんの人々の意見と経験と歴史を知り、

この侵攻に関しての自分の意見をはっきり持つようになりました。

 

 

人間は良い面も悪い面も併せ持ち、

自我と思考と心を様々な経験の中で変化させて行き、

自分の生き方を選ぶのだと思います。

天国も地獄も動物たちの中にはなく、ただ人間の中にだけある。

残念ながら自分の中にある邪悪さは誰の中にもあり、何を善悪と呼ぶのかは本当に難しい。

それは変化する状況や環境によって、容易に姿を表すものだからです。

まるで普段は細胞の奥で眠っていて、

免疫が下がると出て来て痛みを与えるヘルペスウイルスのように。

このウイルスとは遺伝子そのものがタンパク質の殻を被ったようなもの、

細胞から駆逐することは出来ないものなのです。

 

 

 

この最終回でもっとも美しく、悲しかったシーンは

エレンたちが戦争で追われた異民族の人たちと、楽しく飲み明かしている姿でした。

 

心から幸せそうで楽しそうなみんな。

エレンはこの人たちを全員殺してしまうことを知っている。

エレンにとって、父親の記憶の中のマーレやアイスクリームが

実際には初めての体験だったように、

初めて広い世界の他の人々と、心から楽しく過ごした

最初で最後の晩だったのではないでしょうか。

 

 

そしてエレンはその先の未来をも見ていた。

ミカサの選択によって始祖ユミルが奴隷ではなく自分の意思で娘たちを守ることを選び、

その結果、巨人の力がこの世から消える事を。

 

 

エンディングでひとり壁の消えた元のシガンシナの草原に立ち、風に消えていくエレン。

徹頭徹尾生まれた時から自由だった。

自由のために決して止まらなかった。

 

激動の人類史のなかで、

ひとり過酷な運命のなかで抗い、

自分ではなく皆の幸せを願い、それを為して消えていくエレンという存在。

 

命というものの一瞬の輝き。

 

 

この残酷な世界で、自由と人々の幸せを求め続けた凄まじい物語が、

世界の多くの人の心に深く深く根付くのだという事を、

確信してやみません。

 

 

 

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