最後の山ってタイトルなんですけど、
山に登るのが最後って意味じゃなくて、
なんとなくこの山に登るのは、これで最後になるだろうなぁって思った、浅草岳と守門岳。
実は20年ぐらい前に一度登っているんですが、
今年実に久しぶりに行きました。
新潟の山は雪がタップリで、
雪解け後のある時期、一気に素晴らしい高山植物が咲き乱れます。
一番の目的はヒメサユリ。
日本特産のユリで、もうひとつの名前はオトメユリ。
飯豊連峰・吾妻山・守門岳・朝日連峰周辺にしか群生していない貴重な植物で、
環境省では準絶滅危惧種、国際自然保護連合では絶滅危惧種に指定されています。
この花を見るために、雪渓やブヨにも負けず、
この山々をこの時期に目指して登るのです。
ここからすぐに急な樹林帯が始まり、
そのあとは滑りやすい粘土質の細い道になるのですが、
浅草岳も守門岳も、このえぐれた粘土の道が曲者です。
道はハッキリ言って、何気に結構危なくて、
ちょっとでもよろけたり滑ったりしたら、止まらず滑落するだろうなという感じです。
足場が悪くて転落注意箇所が多く、
雨が降ったら登りたくない山ではあります。
標高を上げてきました。
絶対に滑りたくない。
右下は崖で、こんな感じがずっと続きます。
結構ヤバめです。
なんとかアイゼンなしでも行けましたが、
凍っている場所もあり、
残雪のある場所は必ずアイゼンかスパイクアイゼンを用意したほうが
良いですね。
守門岳山頂は、巣守神社の奥の院です。
下山は激しくえぐれた粘土の道で、ずっとそれが続いて、
滑りやすいので注意が必要です。
キレイですね。
なんとか下山してきました。
無人の程久礼小屋(ほっきゅれい)までくれば、
5分上がったところにバスの来る駐車場があります。
本数と期間は充分に注意が必要です。
小屋の前に小さな小川があり、そこでドロドロの靴が洗えました。
この池に鏡を落とした女神が、
この池を鏡の代わりに使ったという伝説があるそうです。
いりひろせという名の道の駅になっています。
日本の深山には、
ここにしか住めない生き物や植物がたくさんいます。
生きるために採っていたかつての人々は、
どこでも必要な分しか採らなかった。
また来年自然が回復し、他の生き物たちも共に生きていけるように、さまざまな事を学び、
足るを知るように生きてきました。
日本は非常に恵まれた地力のある土地ですが、
多くの人が植物や昆虫・動物を採って売ったりなどの乱獲や乱伐をすれば、
あっという間に回復不可能なダメージを与えます。
日本にはいない外来種の放逐も同じです。
短期間に手が付けられないほどに増殖し、
もともとそこにいた生き物を駆逐してしまいます。
この山域に行かなければ見ることの出来ない、
美しいヒメサユリ。
たぶん今年で会えるのは最後になると思いますが、
ずっとずっと咲き続けてくれる事を望んでいます。