おきらくごくらく。

山と自然と不思議。日常のあれこれの雑記ブログ。

龍という生き物についての考察。

龍の絵

 

 

見たことの無いものを描ける才能ってすごいなあ・・・

と常々思っているのですが、

描こうと思ってもなかなか描けない龍の絵なんかは、

私にとっては本当にその最たるもので。

 

今までこれと合わせてたったの2枚しか描いたことがありません。

 

十二支の中で空想の生き物と言われるただひとつの龍。

 

過去たくさんの絵師が迫力ある姿を絵描いて来ており、

元々は中国から渡ってきた空想上の生き物で、

神の存在に近しいともされていますね。

 

私的には山や川、

自然界で見る水が水蒸気になってうねりながら天に上るようなその姿が

龍そのものだと思っていて、

竜巻や稲光、大災害をも引き起こすそのパワーそのものを敬う自然信仰が、

中国などで発見されていた古代の恐竜化石や巨大なワニの化石などから、

昔の中国の人々が、さまざまな現実にいる動物たちを重ねて発想した姿が

今に伝わる龍の原型なんだろうなと思っています。

 

ちなみに西欧の竜、ドラゴンはもっと爬虫類の姿を色濃く持っていて、

空を飛ぶための翼竜のような翼、火を吐き、

人を乗せたりするイメージですね。

ふたつは似ているようで全く違う感じです。

 

もともと同じ宗教から発生したユダヤ・キリスト・イスラム教の中で、

悪魔というものの視覚的イメージを作ったのはキリスト教だそうで、

例えば異教であるギリシャ神話のパンから持ってきたイメージで

サタンが羊の頭を持っていたり、

新約聖書になってから「ヨハネの黙示録」で出てくるドラゴンに、

悪とされていた蛇や爬虫類の姿で表現したため、

ドラゴンには悪いイメージが強く感じられますね。

 

ドラゴンは肉食で、闘う姿なども恐竜や爬虫類などから想像がしやすいですが、

いざ自分が龍を描いてみたら、次々と疑問が湧き上がって来ました。

 

 

「龍が生き物だとしたら、動物だ。

 どこに住んで何を食べて、

 どういう生態なの・・・?」

 

 

上の絵は何も考えずに手が動くまま描いていたのですが、

角の形や付いている向き、

それには動物であるなら理由があるはずで、

闘う相手やその方法、闘う時に下から突き上げるのか、

それとも後ろ向きに角のついているオリックスや山羊みたいに

ツノは実際に使わないけれども、頭突きで闘うタイプなのか?

 

とか、いろいろ考え始めて調べるに至りました。

 

 

ツノがあるなら何かのためにあるのだろうし、

牙があるなら肉食なんだろう。

 

ツノの形は本当に動物によって丸かったり枝になっていたりさまざまで、

鹿の仲間(Deer 鯨偶蹄目シカ科 16属36種)

ニホンジカ・トナカイ・ヘラジカなど

世界中の森林などに生息している。

オスは枝角を持つ。トナカイのみオスメス角を持つ。

枝角は骨組織からなり、毎年生え変わる

 

牛の仲間(鯨偶蹄目ウシ亜科)

多様でかなり複雑に細かく枝分かれし、分類されている。

バイソン・ガゼル・プロングホーン・スイギュウ・アンテロープ・

レイヨウ・ディクディク、そしてニホンカモシカなど。

洞角は角質の鞘と骨質の芯を持ち、一生伸び続ける

 

確かに昔、

沢登り中に拾ったカモシカの頭蓋骨には、

しっかりしたツノが後ろに向かって突き出していました。

角って骨なんだなあ!って

その時初めて毎年生え変わるニホンジカとの違いに気がつきました。

カモシカは、シカじゃなくて牛の仲間なんですね。

 

牛の仲間はざっと見たところ、

ツノは後ろ向きに生えていて、頭突きの戦闘スタイルのよう。

鹿の仲間は横に広がる枝角ですが、ところどころ前向きに枝が出ていて、

これがオス同士の闘いの時に絡んで外れなくなるなど、

ツノにオス鹿の頭蓋骨をつけたままのすごい映像をたまに見たりします・・。

 

こう見てくると、ツノは草食動物にしかなく、

自分の強さの顕示とメス争いのためにあるように見えます。

 

対して牙は肉食動物にあって、(ゾウを除く)

オス同士の戦いはもちろん、生存の狩のために重要なもの。

 

「龍は角と牙、

    両方あるけど・・・?」

 

と思って調べてみたら、

いました、両方持っている動物が。

 

それはなんとあのキョン!!!

 

驚きました・・・・!!!

 

オスのみに短角と牙(上顎犬歯)がある・・!

 

小型で単独生活・草食で木の葉や果実などを食べる小さな鹿、キョン。

 

 

 

 

いや待て、私はもうひと種類知っている。

 

牙のあるシカ科の草食動物を。

 

ネパールで出会った MuskDeer

ジャコウジカ

 

MuskDeer Nepal

Nepal のジャコウジカ。



ネパールのエベレスト街道上で必ずいる場所があって、

初めて見た時は本当に珍獣だと思いました。

鹿というより、牙の生えたカンガルー(雄のみ)に見えたのです。

本当に驚きました。

 

 

調べてみたら、シカ科は他にもキバノロのオスに長い牙があるそうです。

キバノロにはツノがありません

どちらも朝鮮半島から中国にかけて分布するシカです。

ジャコウジカととてもよく似ています。

 

 

なぜキョンだけが、角と牙の両方を持っているのでしょうか?

牙とは歯、主成分はカルシウム。

角とは皮膚、主成分はタンパク質。

強度は牙のほうがありそうです。

骨格を見ると、上顎の2本の牙だけが強い半月型カーブで

前に突き出しています。

小さなキョンが、角も牙も実際に使うところを想像するのが難しい・・・。

森林に住み、果実や葉を食べる小型の草食動物に角と牙がある。

 

不思議です。

 

とすると、龍の牙と角も、威嚇のための道具で、

草食動物であっても不思議はない・・・。

いや奥歯が問題ですが。

 

 

龍は何処ともなく現れて消える、

水蒸気のような水の化身。

人間が従えることは出来ない。

ゆったりと体をうねらせて漂うように空中を翔ける。

西洋の竜は、蝙蝠のような翼で力強く空を飛ぶ。

人間と主従関係を結ぶことが出来る。

そんなイメージ。

 

 

最後に富士山で偶然撮った龍のような雲の動画を。

こういうのが、龍というものじゃないのかなと

個人的に思っています。

 

 

 

富士山の龍雲



富士山の龍雲

 

 

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