おきらくごくらく。

山と自然と不思議。日常のあれこれの雑記ブログ。

巨樹と山と海の森、御蔵島。MIKURAJIMA

東京都伊豆諸島、御蔵島。

船さえ出れば100%イルカと出逢える、

その厳しい自然環境ゆえに守られてきた

世界でも珍しい自然の楽園です。

 

タンテイロの森のオオタニワタリ

御蔵島と言ったらミナミハンドウイルカ!!

なんですが、今回はあまり人に知られていない、

島の深い神山のお話です。(*´ω`*)

 

伊豆諸島の島々は、富士山を起点とするプレートの境目に

次々と噴火によって現れた、それぞれ色の違う宝石のような島々だ

と常々思っているのですが、

 

ディープブルーの海と玉石の海岸

遠方に三宅島をのぞむ

 


 この島も青ヶ島と並んで船の着岸率が非常に低く、

行き着くには自然のくれるラッキーが必要な場所と言えるかも知れません。

 

それでも2000年に起こった三宅島の噴火からは、大型客船が着くようになったので、

それ以前の一日一便の三宅島からの小型船えびね丸より、

ずっと渡りやすくなったと思います。

港もすごく大きくなっていました。

 

(私は三宅島の噴火の時、ちょうど八丈島からの帰りの船に乗り合わせていて、

全島避難の皆さんが大勢乗り込んでくる背後でモクモクと噴煙を上げる三宅島を、

恐れの気持ちで見上げたのを覚えています。)

 

御蔵島とは、神様の大切な宝を置くための御蔵

あるいは三宅島との間に流れる暗くて深い海流からとって海暗

呼ばれるようになったのではないかと言われています。


稲根神社の白い鳥居

 

御蔵島の神様、稲根神社(いなねじんじゃ)

集落のいちばん上に祀られています。

御蔵島の集落は島の北側にあり、稲根神社の拝殿も集落にありますが、

本殿(奥の院)は島のずうっと南側に下った場所にあります。

島の人もお祭り以外にはめったに足を踏み入れない場所です。

 

昔々、稲根山山頂に、毎夜光り輝くものが出現し

近づいて見ると、カクレミノの木に鏡がかかっていたという故事に由来した神様。

あるいはシロージローと言う人が、南風が吹くと鈴の音がすると言って

探しに行くと、やはりカクレミノの木に鏡がかかっており、

「人に会いたくない、ここにいたい」と言うのでこの場所に祠を作ったとか。

その奥の院本殿の手前に、最初の出現地とされる場所があります。

 

毎年1月20日に海岸の根と呼ばれる、まるで階段のような岩を伝って、

私が以前島の人に聞いた話では、八丈島から神様が渡ってきます。

そこから本殿(奥の院)から神の道を通って里に降りてきて、

24日の夜には里を徘徊するので、夜中に村の人は出歩きません。

25日早朝には、里の崖下から神津島(神の集まる島)に船出するため、

決して海を見てはいけないそうです。

見てしまうと神隠しに会うのだとか。

 

 

草祀りの神様

 

山に向かう西と東の道両方に、

草祀りの神様が祀られています。

山に入るときはこの神様に葉っぱを一枚捧げて入山の許しと無事を祈り、

帰りは無事を感謝し、葉っぱを自然に返します。

これは山の中にまだ何人か残っているかの印にもなるのです。

ここ以外では今までに見たことのない、

とても素敵なご挨拶です。

 

 

イナサの大ジイ

 

南郷に向かう入り口に立つスダジイの巨樹。

樹齢500年ぐらいだそう。


イナサの大ジイの中から上を見る

 

中から見上げて見ました。

ぐるりと回ると、オオミズナギドリの巣穴がたくさんありました。


大ジイの根元の穴

 

この根元にある穴の全てが巣穴です。


大ジイの根元倒れても生き続ける木

 

青ケ島は明暦の噴火の時に全ての緑が死滅して、

現在の青々した姿は320年かけて戻ってきた植物たちですが、

この御蔵島同じ活火山Cランクとはいえ、

噴火は遥か昔の7000年前におさまって、

激しい黒潮に洗われて残った硬い溶岩の上に

50cmほどの土が出来ていて深い森を作っています。

 

それでもその土壌の深さでは巨樹や高い木は強い風に倒されるので、

この写真のように倒れたまま生き続け、

その状態でまた上に枝をまっすぐ伸ばして行くという

他ではあまり見ない姿になっています。

 

島の中で巨樹の多い神山と呼ばれる場所は、

調べてみると未だかつて崩れたことがない場所ばかりなのだとか。 

 


オオミズナギドリの発射台

 

写真では分かりにくいのですが、森から頭一つ抜け出した巨樹には、

樹皮の色が太いラインを引いたように削られていて、

これは実は「オオミズナギドリの発射台」あるいは「滑走路」

と呼ばれています。

この木はちょうど階段みたいになっていますね。

登りやすそう。

 

 

資料館のオオミズナギドリの模型

木を登るオオミズナギドリ

 

オオミズナギドリ(カツオドリ)は、この御蔵島世界最大の繁殖地

昼は海に出ているのですが夜になると木の根元に掘った巣穴に

戻ってきて、1年に一つだけ卵を産みます。

もともとコウモリ以外の哺乳類や大型捕食動物のいなかったこの島で

大繁殖出来たのもうなずけるなあ・・・

と思ってしまうほど離着陸が不器用です。

 

その姿はなんといっていいか、

まさに「飛び落ちる」って感じでしょうか。(笑)

なので離陸の時は水掻きのついた足でよちよち大きな木に登り、

その高い枝先から海に向かってダイブするのです。

夜はライトめがけて落ちてきます。

なので高くて太い木は、この鳥たちの人気の滑走路なのです。

 

簡単に獲れてしまうこの鳥を、

島の人たちは大切な貴重なタンパク源として、

厳しく捕獲のための日や数を制限してきました。

この島に生きるツゲなどの全ての木についても同じです。

 

この鳥の掘る巣穴のために、巨樹はますます倒れやすくなるのですが

栄養のある排泄物のおかげで貴重な養分も得ています。

この関係性があって初めて御蔵島の森は成り立っているのです。

 

またこの島でカツオドリと呼ばれているのは、

この鳥がたくさん海上にいる時、その下にはカタクチイワシなどの小魚がおり、

それを狙って大きな魚がやってくるからだそうです。

(そしてイルカも・・・)

 

オオミズナギドリの羽と頭骨

 

オオミズナギドリの頭骨です。

 

 

南郷の大ジイ

樹齢1000年と言われる南郷の大ジイ

その樹齢の大きさと、土の薄さから板根を作り出して体を支えています。

 

 

普通のドルフィンウオッチングでも、

100%の確率で野生のイルカに会える場所は非常に珍しいと思うのですが、

御蔵島非常に海が荒れやすく

漁をしても東京に定期的に運ぶという事が出来ず、

漁師さんたちも彼らを邪魔にしたり殺したりしなかったというのが

この島の周囲200mの浅い水域にミナミハンドウイルカの群れが定住した

一因だと言われています。

 

当時島の人たちは

「イルカなんてその辺にいるもの。

 何がそんなに珍しいの?」

と思っていたそうです。

 

この島はあっという間に海が荒れて波が高くなるんですが、

波乗りを楽しむイルカには、それも良かったのかもと思います。

それと深い森によって、島の周囲に何本も滝がかかって栄養豊かな水が

海に流れ落ちていることも、ひょっとして関係しているかも知れません。

 

何しろあまりにこの島での生活が過酷なため

(しょっちゅう海が荒れて物資が長期間来ない)

流人が送られるのが中止になったというのですから。

 

過酷な環境と限りある資源を守るために、

島の人たちは100人を超えたら要注意だとして、

昔は長男しか結婚出来なかったのだそうです。

 

ニオイエビネラン

 

山の森の中で出会ったニオイエビネラン

名前の通りに香りで離れた場所から花の存在がわかりました。

 


御代ヶ池の緑色の水面

 

島のなかでただひとつの池、御代ヶ池。

神山と御代ヶ池
深い谷と山々

 

この深い深い山の谷から流れ落ちる水が、


深い谷と滝

滝となって落差最大850〜500mを流れ落ちて行きます。

 

 

 

 

長滝山から御山

 

御蔵島の中心部、長滝山から御山。

ツゲやスダジイ、ヤマグルマやモチノキ、クロモジなどの木々の緑が美しい。

ほんの細く見えるツゲの木でも、

軽く樹齢200年は越えていたりします。


御代ヶ池遠景

 

遠方から見た御代ヶ池。

まるで山の上に天空を映す鏡がぽつんと置かれたようです。


御代ヶ池遠景


猩猩袴

 

花の時期を少しすぎていましたが、

ものすごい数のショウジョウバカマの群生です。

これほどの群れは見たことない。

マイヅルソウもたくさんいました。


モウセンゴケ

小さなモウセンゴケ。



 

ラン


マメヅタラン

 

ここで初めて見たマメヅタランの花。

マメヅタにそっくりですが全然違う種類です。

ほえ〜〜



ツツジ

 

サルトリイバラ

 

トゲのないサルトリイバラの花。

 

驚くことに青ヶ島もそうですが、

本来なら鋭いトゲを持つアザミやサルトリイバラに

トゲがありません。

脅威となるものがほとんどいなかったため、

身を守るための武器を持たなくなったらしいのです。

アザミは新芽を3回ぐらい摘むと、

トゲを持つようになると聞きました。

 

 


ニオイエビネ

 

ここにもニオイエビネが。

美しい・・・

出逢えて本当にラッキーでした。


足元の草の中

 

ところでこれ、本当に生まれて初めて見たんですが、

何だか分かりますか?

このピンクの丸で囲ったなかの小さな緑・・・、


極小のリンドウのつぼみ

 

これなんと、リンドウのツボミだそうです!!!

こんな!ちいさい!!! ミリですよミリ!!!!

 

今まで気がつかないで踏んだりしてたのかなあ・・・!!!

本当に驚きました。

 

黒崎高尾の森
黒崎高尾の木

黒崎高尾展望台
御蔵島集落全景

 

この写真に写っているのが、人の住む集落と港の全てです。


御蔵島集落

 

現在御蔵島では、集落以外のほとんどの場所や

山岳地帯はすべてガイドの案内が必要で、

雨天の場合はどのコースも入山することが出来ません。

 

御蔵島には国有地は無く、すべてが私有地と村有地です。

周囲は360度すべて非常に切り立った崖で、

自転車も禁止されています。

山岳地帯は集落よりかなり気温も低く、

下は晴れていても山稜は雲に覆われてしまうこともしばしばです。

 

ゆいいつ島外の人が入れるのが、

集落からすぐのタンテイロの森

 

タンテイロの森の巨樹

 

タンテイロの森の巨樹。


タンテイロの森の巨樹

 

ふとある大きな樹が気になって


タンテイロの森の巨樹

 

上を見上げてみると、


タンテイロの森の巨樹

 

まるで龍の頭を下から見てるような・・・・。


タンテイロの森の巨樹
タンテイロの森の巨樹
タンテイロの森の巨樹
タンテイロの森の巨樹

タンテイロの森から見た海

 


集落からの三宅島

御蔵島村

 

人の住んでいる集落はたったひとつ。

昔は商店もひとつでしたが、いまはイルカのおかげで

商店も三つになって、食事をするところも出来ていてビックリでした。

 

この島に渡るには、宿の予約が必要で

バンガローが少しありますが(ただいま増設中なので5〜6棟?)

観光案内所で予約が必要です。

 

そしてたびたび海が荒れて船が着かないことがありますので、

延泊の用意も必要となります。

 

 

ゾウ遺跡

 

このみちの先に、縄文時代の住居が出たというゾウ遺跡の看板があり、

なんと伊豆諸島で発掘されている縄文遺跡の中では最も古いとか。

(遺構はないですが、遺物が観光案内所の下の資料館にあります。100円)

そのはるか正面に、三つの大岩が見えます。


大野原三本群島

 

三宅島の西にある、大野原三本群島という岩礁の無人島で、

御蔵島から見ると、この写真には写っていませんが

ちょうどこの向こうが神津島になるのです。

 

そう、御蔵島の最も大切な恐い神様のお話。

島の反対側に八丈島から渡ってきて、

ここから神津島に渡って行く。

海流を調べていないのですが、縄文時代から人々が渡っていったルートを

彷彿とさせます。

神の島・神津島には、日本中に広まっていった良質の黒曜石があるのです。

 

 

 

昔初めて御蔵島に訪れたとき、

いろいろな事を教えてくださった宇津孝さん。

小笠原でマッコウクジラの写真を撮り、

その後御蔵島に移住し、海や山の素晴らしい写真を撮っておられました。

海だけではなく、山や夜にオオミズナギドリを見に連れて行っていただいたり。

 

宇津さんがイルカの調査に加わった最初の1年目、

人間の方から初めてコミュニケーションを取ったことで、

イルカたちにも大変化が起こりました。

 

船を見つけるとイルカの方から飛び込んできて

 

「まさに狂乱状態だった(笑)」

 

と宇津さんが言っておられたのを印象深く覚えています。

この本は本当に心からオススメの一冊です。

 

イルカの海 巨樹の森

 

 

 

ミクラの島にゃんこ

 

可愛いい〜凛々しい〜〜島にゃんこ。

 

御蔵島にも人が連れていった猫がノネコとして繁殖し、

脅威となる敵を持たなかったオオミズナギドリ

レッドデータブック入り

する可能性が出るほどの被害が出ています。

 

オオミズナギドリの産卵は一年にたったひとつ

親が獲られてしまうと子供も死にます。

御蔵島ではノネコを森のネコとして、里親を探しています。
 

 

御蔵島のオオミズナギドリを守りたい
御蔵島のオオミズナギドリを守りたい

 

oomizunagidori.jimdo.com

 

 

 

私は記事を書くときに、ケースバイケースで

あまり詳しい場所やすごく珍しいものなどを載せないようにしているのですが、

最近のネットオークションなどでの希少植物や動物の販売を見ていると、

人の欲の凄まじさに辟易を通り越して怒りすら感じることが多々あります。

 

際限のない金銭欲が、どんどんと入れる場所を無くしたり、

自制心のなさが大切な場所に入れる自由や、

その場所自体をどんどん失わせている。

それとともに地元の観光資源として、不要な開発や観光地化が

進むのを見ると、本当にがっくりと力が抜け落ちるのですが、

御蔵島や青ケ島の様子をみると、ここは良い方向で進んでいるのでは・・・と

ホッとしています。

たぶん、島の人たちがあまりお金に執着がない、

表現が難しいですが、青ヶ島の方の言葉を借りると

 

「お金なんかあったって、

 自然の力の前ではどうにも出来ない」

 

という気持ちで日々暮らしておられるからだと思います。

 

もちろん港湾や道路などのインフラは、膨大なお金がなければ整備できない。

でもそれがあっても、365日まったく予定通りに物事が進まない日常が普通の

自然の中での生き方なのです。

昔すべての人の生活がそうであったように。

 

日本にはたくさんの島があり、

その何処もが素晴らしい自然とともにある暮らしをしています。

島での時間は都会での価値や時間の流れとまったく違うので、

どうぞ行くチャンスがあったら、

そんな時間と自然を、十分に楽しんで来てくださいね!

 

mikura-isle.com

 

 

 

過去記事 

www.nekosippona.com

 

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 同じ光る伝説の由来のある御滝不動・・・。

 

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